パンデミック対策の社員向け行動マニュアルの作り方

2009.02.08

組織・人材

パンデミック対策の社員向け行動マニュアルの作り方

荒川 大

前回は新型インフルエンザ対策のガイドラインに基づくマニュアル作成のためのリンク集を公開しましたが、今回はBCMを策定し、パンデミック対策ガイドラインを策定した後の行動計画について考えます。

パンデミック対策でも地震災害対策でも同じですが、発生したら、勤務先の社員は身を守りながら、会社を守れる体制はできていますでしょうか。

当社では、社員向け行動計画・行動マニュアルの作成を代行及びサポートしていますが、行動マニュアルを考える前に、その上位にあるリスクマネジメントの必要性について考えて頂きたいと思います。まずは、簡単な3つの質問を書いてみます。

【質問1】
新型インフルエンザの発症により、財務・経理部門の社員全員が入院しました。給料日まで10日(銀行への手続きまで3日)、月末支払いまで15日に迫っています。御社ではどのような対応を行いますか。

【質問2】
ITエンジニアを派遣している先から、社内で感染者の確認の連絡が入りました。社員にはどのような対応をするように伝えていますか。派遣できない場合の支払いはどのような契約になっていますか。

【質問3】
新型インフルエンザにより、部門長とリーダーが入院しました。残っているのはメンバー2名。部門運営の権限は組織図に沿って引き上げますか。権限委譲を行いますか。

ポイントは、あくまでも事業継続性の問題であり、またどこまでやったら諦められるのかという点に限ります。
例)権限の確認、振込作業のバックアップ、リモートアクセスの有効性、支払い不能による取引先不渡り(倒産)リスク、賃金未払いによる社員の生活補償等

【パンデミック対策の進捗チェックリストはこちら】

想像力を働かせて、どこまでもネガティブなイメージを持つのではなく、実行力のあるプランを策定して、それにバックアップを付けて、バックアップで対応しきれない問題は「ごめんなさい」する。
そのプロセスを明文化し、社員に共有することが早急に求められます。

行動計画策定のポイントは、

1. パンデミック対策ガイドラインから行動計画・マニュアルを作成しようとは考えず、BCM策定後に「事業継続性」の観点からマニュアルを作成する。(対策ガイドラインは参考情報)

2. やれるであろうところまで作りこむのではなく、社員が理解できる範囲までを作成する。そして、社員が理解した上で他部門のバックアップができる体制を構築する。

3. 想定される欠勤率は40%のため、天変地異とは異なり契約不履行が賠償の対象になることが考えられる。ITシステムの運用や、クライアント先常駐型のプロジェクトメンバーの勤怠管理や、支払い・補償・休業等のルール作りは急務。

個々の社員が部門のルールに従って自律的に行動できる「指針」を是非作成頂きたいと思います。

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