「このマンガがすごい!2009」が先月発売された。そのオトコ編ランキングに並んだ漫画から、とてもお薦めしたいものがある。 漫画好きと自称する麻生太郎首相にも、ぜひ読んでもらいたい。これを読んでから、ぜひニート対策を練ってもらいたい。
しかし、何かやるとなったら・・・そういう人たちに限って・・・
【1月】 初っ端から飛ばすと後でばてる。2月から本気を出す
【2月】 まだまだ寒い。これではやる気が出ない。3月から本気出す
【3月】 年度の終わりでタイミングが悪い。4月から本気を出す
【4月】 季節の変わり目は体調を崩しやすい。5月から本気を出す
【5月】 区切りの良い4月を逃してしまった。6月から本気を出す
【6月】 梅雨で気分が落ち込む。梅雨明けの7月から本気を出す
【7月】 これからどんどん気温が上昇していく。体力温存の為8月から本気を出す
【8月】 暑すぎて気力がそがれる。9月から本気を出す
【9月】 休みボケが抜けない。無理しても効果が無いので10月から本気を出す
【10月】 中途半端な時期。ここは雌伏の時。11月から本気を出す
【11月】 急に冷えてきた。こういう時こそ無理は禁物。12月から本気を出す
【12月】 もう今年は終わり。今年はチャンスが無かった。来年から本気出す
「本気出さず仕舞い」で1年は、終わってしまうのである。「本気出しちゃっていいの?」「というわけで、俺、本気出すわ」などとうそぶきながら、1年は、あっという間に巡ってしまうのである。
もう良い大人なのに「自分はまだ何者でもない」と焦っているヒトは多い。傑出した人間ではないという自覚がありつつも、まだ「残念なヒト」にはなりたくないと抵抗している。
その極小の向上心による連帯感が「世界にひとつだけの花」を大ヒット化させた根底にあると思う。「ナンバーワンよりオンリーワン」だとか、そういう物言いが共同体全体のフレーズとなるのは、どんなヒトも極小の向上心を持っているということが前提となっている。日本の教育やメディアは、そこの気持ちよさそうところを行ったり来たりしているだけで、何も根本的なことは解決していない。
この時代、
「本気」にならなくても、喰っていけるのだ。
「本気」になることを知らなくても、やっていけるのだ。
そういう時代の感受性と、そういう共通のモチベーションからなる共同体があることをこの漫画は教えてくれる。『負けても悔いが残らないよう、精一杯頑張ろう』『人間って、本気になったら何でもできるって』と言うことの虚しさこそが寧ろリアルであることを炙り出してくれている。
「白馬に乗った自分様」は、そんなに簡単にやってこない。
「自分探し」がどうしようもない煩悩であり、「俺はまだ本気出してないだけ」と言うことが、どんなに虚しくて孤独なことかを共同体=読者にわからせようとすることこそ、この漫画の良心である。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。