今日は、戦略策定アプローチの1つであるシナリオプランニングをご紹介します。内部、外部環境から自社の方向性を定め、打ち手を定めていくことは通常の戦略策定と同じですが、複数の外部環境オプションを定めて、自社の方向性の幅を定めていくところに特徴があります。
また、代替製品・サービスも怖いですね。漫画、雑誌を売っている書店にとっては、古本屋、漫画喫茶の急速な成長は脅威です。
あと、顧客の交渉力が上がってくるのは怖いです。これまで100万円くれていたのに、やっぱり50万円にしてくれないと買わないよ、と言い始めるお客さんがたくさん出てきたら困りますよね。
そして、これまで仕入れをしていた供給業者が、この材料はもっと高くないと卸しませんよ、と言ってきても困りますね。サプライヤーが強くなると原材料コストが跳ね上がりますね。
これも長くて恐縮でしたが、この5つの要素が組み合わさってくると、どうなるのか?というシナリオを作ってみると、意外と血の気が引きますね。
最悪のシナリオだと、仕入れコストが数%増加して、販売額が数%減っただけで利益がでなくなる。かつ、競合が異常なダンピングに出るせいで、自社の収益が激減する、といったこともありえます。
当然、前に書いたPESTの変化のパターンから、各5つのプレーヤーの行動がどのように変わる可能性があるのか?を考えないといけないですね。
そこから、有力な変化のシナリオを3つから5つぐらい想定して、どういう打ち手がありえるのか?を考える。その打ち手の幅を認識した上で、自社のリソースには限りがありますから、どの打ち手を打っておくのか?を考え決めていくんですね。
そういうことを、中計策定に合わせてやっておくことがすごく大事です。たいていの大きな会社では形ばかりの中計を作る作業をしたりしていますが、どうせ時間を使うなら、意味があるようなつくり方をしてみてはどうでしょうか?
コンサルティング会社を入れてもいいですが、自社にプランニングの部門があるなら、その部門にやらせることが大事です。
コンサルティング会社に頼めば、全てやってくれますが、その考えるプロセスを自社で共有することが大事なんですね。
アドバイザー、ファシリテーター的にコンサルティング会社を入れるのはいいと思います。自社のスタッフにノウハウが残っていくことが大事ですね。
そうしておくと、具体的に市場に激変が起こった時にしっかりした判断ができる可能性が高いです。
たしか、こういう変化は想定したよね?なのか、予想外だけど、こういう場合は、と考えるスピードが速くなってきますよね?
これを読んだだけでシナリオプランニング手法が完璧に使えるようになるわけでもありませんが、自社の経営を考える際の一助となれば幸いです。お読み頂いた方の経営が少しでも前に進むことを心よりお祈りいたします。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。