朝日放送の深夜の人気バラエティー番組「アメトーク」。ここで生まれた『家電芸人』。番組最高視聴率を獲得するとともに、リアルな家電流通販売店頭からとても評判が良いようだ。 「家電」×「芸人」=そこには、テレビの新しいPR手法がある。 次に生まれてきそうな通販コンテンツの予感がある。 『家電芸人』は、ビジネス的にあなどれない。
2、芸人の自発的バラエティ
サントリーのセサミンのテレビショッピングに見られるように、通販の企画では、タレントが商品の使用感を語ることによってレスポンスを上げるという常套手段がある。しかし、「やらされ感」が、なかなかぬぐえない。タレントが企画には乗っているが、「売りの姿勢」には、乗っていない。
しかし、メーカーからの仕込みがあったとしても・・・ペナルティーのヒデのプレゼンから生まれた『家電芸人』として、その自発性を尊重して、バラエティ番組として成立させているのが上手い。
ちゃんと「売りの姿勢」が、番組から出ている。ジャパネットたかたの高田社長も、見方を変えれば『家電芸人』である。今後、通販の販促に、このような手法が多用されるのが予測される。
3、芸人達の高いプレゼンテーション能力
上記のように、自発的に企画に乗っている芸人達のプレゼン能力は、結構、凄い。面白い。
例えば、年末の特番でも再放送をしていたが、品川祐が「お宅のテレビがハイビジョンかどうかチェックする簡単な方法」を実践して見せる場面があった。
「僕が皆さんの見ているテレビの右のほうに移動します(と言って、ヒナ段を降りて右端へ)。はい、ここで僕がまだ見えている人? おめでとうございます。お宅はハイビジョンです。僕がテレビからはみ出して見えない? それ2011年7月24日を過ぎるとテレビが見えなくなります。」とこんな風だ。テレビという画角や構造を知った上で、ハイビジョンなのかどうかを、身体とカメラを使って理解させる。スタジオと視聴者が一体になる瞬間を作っている。
4、司会者・雨上がり決死隊の視聴者目線
また、ひな壇に並ぶ『家電芸人』たちの熱いプレゼンに、視聴者と同じ視点で、ふんふんと理解を示したり、突っ込みを入れたりする司会者・雨上がり決死隊の役割も大きい。通販番組のように、情報の発信が一方的ではないところに、情報の信憑性を高めるミソがある。
「家電」に組み込まれていく小さな技術の差は、テレビコマーシャルだけでは伝わらない。「小さな差が大きな差になる」業界であるのに、その些細な違いを説明しようとすると、店頭に来てもらうしかない。
その小さな差を、テレビで熱くプレゼンテーションしてくれる芸人達をメーカーや家電販売店がほっておくわけない。番組放映の次の日には、「『アメトーーク!』で紹介された商品」「芸人●●が絶賛の●●●」などのPOPが、家電販売店店頭に並ぶところもあるらしい。
不況だ、景気悪化だ、と言いながらテレビは見る。
暗い話しばかりだから、身近な「芸人」たちの笑いで癒されたい。
その「笑い」に、日本の経済復興の主要産業である「家電」が乗っかった。
そして、実際に、需要を刺激している。
『家電芸人』・・・お手盛りな企画ではあるが、ありそうでなかった。「商品と売り方」が一体になっている。
販売には、コミュニケーションがどれだけ重要かを教えてくれる。
『自民党芸人』『民主党芸人』などなど、
政治の突破口は、そんなとこから開いていく気もする。
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私的マーケティング論
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。