今やマンションの必需品となった宅配ロッカー。そのシステムを日本で初めて立ち上げ、ダントツのシェアを誇るのがフルタイムシステム社だ。圧倒的なポジション獲得に到る同社の経緯に迫る。
第3回
「コアコンピタンスは管理センターにあり」
■世界唯一にして最高の管理センター
「日本でトップのデベロッパーさんで採用してもろたら、後は黙ってても注文が入ってきました」
そもそも宅配ロッカーに対するユーザーニーズは確実に存在していたのだ。ニーズがあることは、大手デベロッパーともなれば顧客調査などで先刻承知である。ただ一つ、最大のネックとなっていた規則問題が解消されたとあれば、採用しない理由がない。
「それまでも中小デベロッパーさんを相手に少しずつ進んでいた導入が一気に広がりました。時代の流れもごっつ追い風になりましたなあ」
時代の風とは宅急便の成長である。原社長の宅配ロッカーと同じく、顧客の利便性をひたすら追求してきたクロネコヤマトの宅急便がちょうどその頃ブレイクしていたのだ。
「そのとき気がついたんです。これからは管理センターが、間違いなく我が社の肝になる。ここに全力を注がんとあかんと」
大阪に置かれた管理センターは、その機能がどんどん強化されていった。今ではスタッフが30人を超える体制となっている。
「宅配ロッカー専業でスタッフを30人以上も抱えているのは世界でもおそらくうちだけやと思いますわ。ちょっと計算してもろたら、どんだけ人件費がかかってるかわかるでしょう。未だに24時間電話対応できるところは他にないと思います。それも当たり前の話で、普通はここまでやらんのですよ」
普通ならやらないことをあえてやる、だからからこそ強力な差別化につながるのだ。実際フルタイムシステム社にとっては、管理センターこそが宝を生み出すマシンといってもいいだろう。そのマシンの原動力となっているのは、お客様が電話やメールで語ってくれる生の声である。
「たとえばクリーニングの注文や受け渡しには使えないのかと。ある主婦から要望があったんですね。聞いた瞬間”これや!”と思った。宅配ロッカーのシステムを使ったら簡単にできますから。宅配便を受けとるだけやなくて発送までできたら便利やのにと言われたら、それもできるやないかと」
まさに管理センターに寄せられる顧客の声が貴重なアイデアリソースとなっているのだ。
■管理センターの徹底したフォローが顧客の利便性に
顧客の声を受けて開発されたシステムの中でも、注目を集めているのがレンタサイクルだ。
「宅配ロッカーの管理システムを使ったら、他に何ができるやろ。そう考えてたときに、マンションにレンタル自転車があったら便利やのになあと、お客さんの誰かが言うたはったんですな」
次のページ『株式会社フルタイムシステム関連リンク』
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
FMO第18弾【株式会社フルタイムシステム】
2009.01.13
2009.01.06
2008.12.22
2008.12.16