今日はシナジー効果の本質的な部分を探っていこうと思います。結局は「全体は部分和を超える」というお話しに終始し、「関係性」こそ本質であるということ以外にないのですが、その辺りの背後にある現代思想にも触れつつ解説したいと思います。
「構造主義」という言葉ぐらいは皆さん聞いたことがありますよね?
1つ1つの要素の本質を考えるよりも、その関係性を考えましょう、というのが、構造主義がもたらした最大の知見です。
どういうことかわかりますでしょうか?
1つ1つの要素の本質を探ろうとすると、結局、行き詰まります。いわゆる実体論と言われる問題に陥ります。人は果たして物事の本質を認識しうるのか?客観とは?といった問題が生じてきてしまいます。
だから、実体は問題にしないで、関係性を問題にしよう。そのほうが、結果に作用できるという考え方ですね。
ビジネスにおいては儲けるという結果をもたらせばいいんですよね。だから、どうすれば儲かるのか?という関係性を問題にすればいい。
~関係論という学問はけっこうありますが、これは構造主義以降に成立している学問なんですね。20世紀に入ってから成立しているんです。
でも、逆に言えば、ソシュールの言語論に端を発する構造主義の知見を知っている人にとってみれば、「全体は部分和を越える」というのは当たり前のことなんです。
「シナジー効果」というのは、あって当然のことですね。
逆に言えば、カニバリゼーションもあって当然です。
ビジネスでは、儲けを求めますので、いかにカニバリゼーションを起こさずに、シナジーのみを起こしていくか?が問題になりますね。
そこで着目するのは、事業の関係性です。
事業というのはリソースを使って、ビジネスプロセスを回して、商品/サービスを顧客に向けて出力していくことで、儲けるという見方ができますね。
シナジー効果を考える時には、商品/サービスは違うという前提で考えますと、顧客、リソース、プロセスが共通しているのか?というポイントが大事になってきます。
顧客、リソース、プロセスの各エンティティが共通していれば、エンティティを統合して、別の2つの関係性を、統合したエンティティを使って回すことができますよね?
シナジーのポイントは元々あった関係性は別々に流れ続けているという見方だと思います。
コンサルタントは関係性まで統合しているような絵を描きがちだと思いますが、多分それは違いますよね?
ちょっと難しいことを言っていますでしょうか?
もしも、顧客、リソース、プロセスの各エンティティが一切共通していないならば、シナジーはありえないですね。でも逆に言えばカニバリゼーションも有り得ないですね。ねじれの位置の関係にあるような事業と言えるでしょう。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。