織田裕二の「キターッ!」のモノマネを得意とする芸人・山本高広がピンチを迎えているという。しかし、それは他山の石として学ぶべきところがあると思うのだ。
山本高広はオモロイ。実は昔から織田裕二好きの筆者からみても、似ていて、ビミョーに似ていないモノマネはかなり笑える。しかし、織田裕二本人は笑えなかったようだ。
<山本高広が「キターッ!」と叫べぬ日が「キターッ」!?>
http://news.ameba.jp/domestic/2008/11/21717.html
<織田裕二の所属事務所から民放各局に「物真似を企画される際には、(真似される)本人のイメージを尊重していただくようなルール作りをお願いしたい」との通達があった><この通達は事実上の禁止宣告>とのことである。
記事にあるように年末年始の稼ぎ時を前に、大ピンチである。ネタを封印されたとあれば、出演のお呼びがかかるチャンスは極めて低くなる。以前はショーパブなどに出演し、生計を立てていたようであるが、現在はテレビ一本だというから収入も大打撃だ。
ファンとしては山本高広に何とかこの苦境を乗り切ってもらいたいと思うだが、それと同時に彼の現状から教訓をひとつ思い出したのである。
ジェラルド・M・ワインバーグの記した「コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学」という名著がある。1990年の発売以来、根強い人気を保ち続けているのは、ワインバーグがコンサルタントとして会得した課題解決のポイントが、惜しげもなく公開されているからだ。その内容は全てのビジネスマンに大きな示唆を与えてくれる。
さて、著者であるワインバーグの持論の一つに「一つのクライアントからの収益が60%を超えないこと」というものがある。当たり前といえば当たり前なのだが、収益源を単一にしてしまうとそれを失ったときのダメージが大きすぎるからだ。しかし、当たり前なのだけれど、つい、やってしまう。コンサルタントだけではない。営業マンはどうだろう。つい、通いやすい営業先ばかりに足を運んでしまわないだろうか。
もしくは、「一つのクライアント」というところを「一つの業務カテゴリー」や「売り物」と読み替えたらどうだろう。筆者はコンサルティングと講師の仕事をしている。正直、どちらかに集中した方が楽なのだが、あえてそれはしていない。性質の違う業務は収益構造も違う。そのバランスがうまく取れるからという理由からだ。
話を山本高広に戻そう。彼は織田裕二のモノマネ以外にもネタは持っているのであるが、ここのところ、ほとんどそれを披露していない。もちろん、番組が視聴者ウケのいいネタを集中的にやらせているという理由もあるだろうが、「キターッ!」以外ほとんど聞いていない気がする。
「60%」どころか、ほぼ100%依存していたネタを封じられ、大ピンチに陥る。
しかし、「あーあ、芸人は大変だ」とばかりいっていられない。ワインバーグの教えと共に考えれば、ビジネスの世界にも当てはまる教訓と考えられるだろう。
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2008.11.30
2008.12.22
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。