購買部門におけるステイクホルダーマネジメントとは?
一方で、調達・購買部門は単により良い条件を引き出すだけでなく、
その良い条件で契約したものをユーザーに選択させなければなりません。
また、無駄に多く買うことも防止しなければなりません。
企業活動の中で、
ボールペン一本の単価が80円なのか60円なのかについて拘りを持ち、
コスト削減を図っていこうと考えるバイヤーは少なくないです。
一方で60円のボールペンを如何に選んでもらうか、
もしくは3本ではなく本当に必要な2本を買わせることを
気にかけているバイヤーはあまり多くありません。
ただちょっと考えてみれば自明の理です。
「ユーザー」マネジメントは
全体の支出を適正化するために必要な調達・購買部門の機能なのです。
次は「仕様設定者」です。
仕様設定者という言葉は分かりにくいのですが、
簡単に言えば「設計者」です。
「設計者」は、顧客や社内のユーザーの要求を満たす製品の設計をします。
VE的な考え方で言えば、
求められる付加価値や機能を満たすために
最低限のコスト(コストだけではないですが)で収まるようにする。
言い換えれば「オーバースペック」を排除することが彼らの役割です。
調達・購買部門は「仕様設定者」に対して
様々な情報提供をしてあげる必要があります。
これが「仕様設定者」に対するステイクホルダーマネジメントになります。
「仕様設定者」は「高くて良いもの」と「安くて悪いもの」があったら
「高くて良いもの」を選びます。
何故かと言うと彼らは「良いもの」を顧客に供給することが
主たる役割だからです。
調達・購買部門の「仕様設定者」に対する
ステイクホルダーマネジメントは、
単純に言ってしまうと「安くて良いもの」がこれだけあるんだよ、
と教えてあげる情報提供機能です。
最近は「開発購買」という言葉でこのような活動が定義されています。
企業によってはこのようなステイクホルダーマネジメントの機能を
エンジニアを調達・購買部門に異動させて
役割分担させているケースも少なくありません。
最後の「サプライヤ」のステイクホルダーマネジメントについては、
今までもその重要性について
色々述べてきていますのでご理解いただけると思います。
このように調達・購買部門にとっても
ステイクホルダーマネジメントは非常に重要な視点です。
バイヤーの皆さんもステイクホルダーマネジメントに着目し、
ステイクホルダーのニーズの探索、掘り起こし、
ニーズを埋めるための活動について
もっと意識を高める必要があるのでは、と考えている今日この頃です。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。