セールスプロセス改善:ボトルネックとリソースの分離

2008.10.26

経営・マネジメント

セールスプロセス改善:ボトルネックとリソースの分離

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

もう、このシリーズも6回目ですね。今日はセールスプロセスを改善する際のボトルネック概念と、そのプロセスを担うリソースの分け方、つまり組織作りの考え方を解説していきます。

 これ、意外としんどいのです。

 サービス提供クオリティの高さで成長してきた企業は特にそう。

 例えば味のいいラーメン屋があり、常連さんばかりでなかなか成長しないなあ、と思い、一生懸命集客に力を入れる。

 そうすると、集客に取られる時間でラーメン作りがおろそかになると、常連さんの離脱につながったりするんです。

 それでも、新しいお客さんは来ているから、と集客に時間を取られてしまいますます味が落ちて、顧客の離脱率が大きくなる、ということは有り得ます。

 結論から言うと、顧客の離脱率が大きいと、新規客が来てもペイしません。

 そりゃ、大きいと言うのは何%ですか?というところはあります。だいたい、3回以上はリピートしてくれないとペイしない場合が多いです。

 前にも書きましたが、新規客の獲得コストは1人あたりの利益を上回るのが普通です。だいたい、4倍ぐらいかかると言われます。だから、平均して3回はリピートしてくれないと儲からないんです。

 そうすると、サービス提供クオリティがそれぐらい高くないといけない。

 だから、セールスプロセス、マーケティングプロセスを担うリソースは、サービス提供プロセスと分離することを通常はお勧めします。

 マーケティングとセールスを担うリソースは分けなくてもいいかもしれませんが、依存関係には注意が必要です。

 ただ、提案営業的なことをやる企業では、セールスとサービス提供のリソースは分離しにくい。ヒアリングから提案、クロージング、サービス提供までを同一リソースでやったほうがいいことが多いのです。

 だから、こういう企業ではマーケティング(集客)はしっかり別組織にしてあげる、自動的に顧客が集まる仕組みを作るといったことが必要ですね。

 ただ、1つのプロセスの生産性が改善したとします。そして、相対的にそのプロセスの生産性は高くなったとしましょう。するとボトルネックは違うプロセスに移動するんですね。

 つまり、絶えざる改善活動が必要だということです。いわゆる継続的改善というやつです。まあ、しょうがないですけどね。

 長くなってきたので、今日はこれぐらいで。セールスプロセス改善についてはまだまだ書くことがありますので、次回をお楽しみに。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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