全国に10カ所、日本最多の地方拠点を持つのがフューチャーベンチャーキャピタル社。京都に本拠地を置く独立系ベンチャーキャピタルだ。後発、小規模ゆえに考え抜かれた同社の戦略展開の秘密に迫る。
現状が、おそらくはFVCにとって環境的に最悪の時期なのだろう。ということは、この先必ず反転が起こるはずだ。それがいつ、どんなキッカケで始まるのか。FVC社の未来は、日本のベンチャー業界全体を占うカギとなるのではないだろうか。
~特集インタビュー
「拠点数日本一、地域密着型VCの独自戦略について」完~
『フューチャーベンチャーキャピタル株式会社関連リンク』
・フューチャーベンチャーキャピタル株式会社
http://www.fvc.co.jp/
【Insight's Insight】
ランチェスター戦略の徹底
独立系ベンチャーファンドでいかに戦うのか。資金力で劣り、創業時には人材も揃っていなかったのがFVC社である。ヒト・カネで負けているのなら、せめて情報では勝るとも劣らずぐらいには持っていきたい。そのためには東京に出なければ、と考えるのは発想としては間違っていない。
しかし、戦いの場として東京を捉えた時、その競争環境はどうなるだろうか。創業時に川分社長が熟慮したのは、この点である。中小企業のための戦略論として知られるランチェスターが教えるのは『敵のいないところで戦え」ということ。確かに情報はあるかもしれないが、東京はまさにレッドオーシャンである。だから京都で創業した。
FVCの成功要因は、弱者の戦略を徹底したことにある。すなわち戦いの場は東京ではなく地方に求め、ターゲットも競争相手の多いミドルステージ以降のベンチャーではなく、アーリーステージ以前に絞り込んだ。有望なベンチャーが地方にいるのかといえば、実はいるのだ。むしろベンチャーであれば、地方で創業する方がコスト面でメリットがあるケースも考えられる。これはと目を付けたベンチャーには担当者を貼り付かせ、ハンズオンスタイルでじっくりと育成に取り組む。相手がアーリーステージにいるのだから、成長に時間がかかるのは織り込み済みなのだ。
リスクを取ればリターンも大きくなる。しかも地方なら行政も金融機関もベンチャー育成のためにスクラムを組んで後押ししてくれる。確かに今はベンチャー市場全体が落ち込んではいる。イグジットの多様化も考えなければならない。しかし、この状態がいつまでも続くはずもない。日本のベンチャーは優秀なのだ。やがて本当に力のあるベンチャーが成長路線に乗り、ベンチャー市場が再び活性化した時がFVCの第二創業期となるだろう。
◇インタビュー:竹林篤実/坂口健治 ◇構成:竹林篤実
◇撮影協力,フォトグラファー:㈱エムツーフォト 代表取締役 宮田昌彦
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FMO第15弾【フューチャーベンチャーキャピタル株式会社】
2008.10.14
2008.10.07
2008.09.30
2008.09.22