全国に10カ所、日本最多の地方拠点を持つのがフューチャーベンチャーキャピタル社。京都に本拠地を置く独立系ベンチャーキャピタルだ。後発、小規模ゆえに考え抜かれた同社の戦略展開の秘密に迫る。
最終回
「切れること。タフであること。人を動かす力のあること」
■成長志向の企業なら新卒採用がベース
「基本は新卒をいかにして採用するかですね」
ベンチャーが成長していく過程では、さまざまリソースが不足する。資金が必要なのはいうまでもないが、成長にはやはり人が欠かせない。ベンチャーなら即戦力となる人材こそが重要かと思えば、意外にも川分社長の考え方は少し違うようだ。
「もちろん新卒だけでベンチャーを回していくことは無理です。が、可能な限り新卒の優秀な人材を採って、その人たちを育てていくことが重要ですね。新卒を継続的に成長させられるかどうかで、その企業自体の成長も決まってしまう。それぐらい大切です」
FVC社自身の人材育成は、どのように行なわれてきたのだろうか。
「ベンチャーキャピタリストのプロは、日本にもまだそう多くはいません。我々は新卒を採用して、自分たちで育て上げる道を選びました」
とはいえ極めて高度、ほとんど全人的な能力を求められるのがベンチャーキャピタリストのはず。大学出たばかり、20代前半の若者が、一人前のキャピタリストになるには相当の時間がかかるのではないか。
「正直なところ、新卒を採用してもなかなか残りません。一流のベンチャーキャピタリストを育てるのは至難の業だということがよくわかってきました。ただ、厳しい環境の中をくぐり抜けることができた人間が少しずつでも残れば、組織は確実に強靭になっています」
そもそもベンチャーキャピタリストには、どんな人物が向いているのだろうか。
「まず頭が切れること。これは絶対条件でしょう。数字を読み、状況を掴み、企業が抱えている問題を分析して解決策を経営者と一緒に考えていかなければなりませんから」
まずは少なくとも経営者と同じ視線を持てるだけの能力が必要ということだ。これだけでも相当に厳しい条件である。
「次はタフであること。その企業の役に立ちたいという思いをどれだけ強く持てるか。残念ながらベンチャー企業、それもアーリーステージにある企業ほど、どんどん潰れていきます。そこを自分一人で担当するわけですから、プレッシャーは壮絶です。これに耐えられるかどうか」
■最終的には気持ちの勝負
「もう一つが人を動かす力を持っていること。こればかりは、もしかしたら生まれながらの資質に左右される部分があるのかもしれません」
ベンチャー経営者と互角に渡り合うだけではなく、時には相手を動かすだけの度量までもが求められるのだ。
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FMO第15弾【フューチャーベンチャーキャピタル株式会社】
2008.10.14
2008.10.07
2008.09.30
2008.09.22