小売業などの流通業者の戦略は、 「集客型」 から、 「接客型」 にシフトしつつある。 と指摘するのは、明治大学大学院、 グローバルビジネス研究科教授、上原征彦氏です。 (月刊アイ・エム・プレス、2007-4)
従来の「集客型」というのは、大きな店舗を作って消費者を
集めることを基本としてきたビジネス。
「百貨店」は、その最高峰に位置していると言えます。
一方、「接客型」というのは、
‘消費者に接近していくビジネス’
という意味です。
上原先生によれば、
百貨店(都市部に立地)
↓
GMS(ダイエーなどの量販店、住宅地に進出)
↓
SM(マルエツなどのスーパーマーケット、さらに接近)
↓
CVS(コンビニ、500m商圏、さらにさらに接近)
↓
インターネット(オンライン店舗、ついに店が家庭に入り込んだ)
というように業態が変化してきている。
つまり、店舗がどんどんと消費者に接近していって
いるというわけです。
なるほど、確かにそうですね。
流通業者は、消費者との「物理的な距離」を
短縮する方向で進化してきたと言えます。
そして、「インターネット」に到達してしまうと、
店舗繁盛のための最大の要因のひとつであった「立地」が、
あまり意味を持たなくなってしまいました。
そしてさらに、インターネットにおける消費者との物理的距離を
短縮したかったら、検索エンジンでの上位表示を行うための
SEO(サーチエンジン最適化)対策であったり、
リスティング広告への出稿を行うということになりますか。
(これを物理的距離と呼ぶのはちょっと変ですが・・・)
さて、問題はこの後です。
物理的距離が近いだけで消費者が買ってくれるほど
ビジネスは甘くないですよね。
大事なのは、消費者との「心理的な距離」です。
心理的距離が遠かったら、モノは売れません。
「物理的な距離」は、上記のように極限まで売り手側から
短くしていくことができます。
しかし、「心理的な距離」はそう簡単ではないですね。
こちらがいくら「好き」だと言っても、相手も自分のことを
「好き」と思ってくれないのいと恋が実らないのと同じで、
消費者の方が、「売り手に心理的に近づきたい」と思って
くれないと取引は始まらない。
売り手は、当然ながら自分たちの思いを消費者に伝えることが必要。
でも、同時に消費者が、売り手に好意を寄せてくれるためにやるべきことが
何かも、わかっていなければなりませんよね。
それがわかっていないと、おそらくその売り手は選れない。
消費者に求愛している気の利いたライバルは、
他にも山ほどいますから。
つまり、いつの時代でも大事なことは、
消費者との「心理的距離」をいかにしてつめるか
(つめてもらうか)
じゃないでしょうか?
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2008.08.26
2009.11.18
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。