「鶏が先か、卵か先か」の永遠の問いに、 科学的な結論が出たのは、2年前。 その決着をつけたのは、ディズニーだっ。 そこいらへんをちょっと深読みしてみる。
ニワトリが先か、卵か先か―。
学者から酒場の酔客まで悩ませ続けてきたこの“命題”に、
英国の遺伝子専門家と哲学者、養鶏家の3人が結論を下した。
その答えは「卵が先」。
2006年5月26日、英PA通信が世界に一斉に報じた。
ノッティンガム大のブルック・フィールド教授(進化遺伝子学)らによると、
生物が生きている間に遺伝物質が変化することはなく、
ニワトリ以外の鳥が途中でニワトリになることはあり得ない。
このためニワトリ以外の鳥が産んだ卵が、
突然変異でニワトリの特性を備えた卵になった、と結論づけたという。
何となくそんな気もしていたので、スッキリしたぁぁぁっーと思っていたら、
記事は下記のように続いた。
3人は、
映画「チキン・リトル」のDVDを発売するディズニーの依頼で、
この命題に結論を下した。 (ロンドン・岡安大助)
結局、このニュースは、
ディズニーの映画「チキン・リトル」のDVD発売のためのプロモーションだったのだ。
鶏でもなく、卵でもなく・・・
「チキン・リトル=ヒヨコ」が先のニュースだった。面白いっ。
当時、このニュースは、私が住んでいる福岡の新聞にも載ったし、
YAHOO!!でもサイエンスのトピックに分類されていたりして、
そこはそれ、ディズニーの作戦勝ちということだった。
世界に同時配信されるニュースを、
ひとつの映画のDVD発売に合わせて発信させるとは、悔しいが、さすがだ。
ディズニーの映画のテーマが、国境など関係なく、
普遍的なものであることを感じさせるには、充分に効果がある。
このパブリックリレーション=PR手法が、さらに深いのは、
「鶏が先か、卵が先か」という二者択一の命題の答えが、
「科学的に何の意味もない=どうでもいい」ことが前提であり・・・
その後の、ディズニー映画の先に、
二者択一ではない全人類の問いを用意していることにある。
科学の明確な答えより、
人間の問いを大切にする思想が待っていることである。
ディズニーにとって、
パブリック=公を、リレーション=繋ぐのに一番肝心なのは、
「永遠の問い=議論の余地」なのだ。きっと。
ニワトリか、卵か・・・・。
この二者択一論議の肝心なところは、
「卵が先っ」という生物学的な答えではない。
生物的にひとつの個体は、生きてる間に突然変異なんてしないが・・・
人間や仕事は、何かをきっかけに、すごい突然変異をしちゃうものっ。
そういうときに、あれはどうやったんやろうねぇぇぇという時に、
持ち出す問いじゃないだろうかっ。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。