2008年4月からの金融商品取引法並びに、会社法の定める内部統制体制構築の結果、リスクアセスメントによって炙り出される「未払い残業代」の支払いは重大な財務リスクとして顕在化してきております。その財務リスクに対して、人事の立場からどう向き合っていくのかについて書いていきます。
「未払い残業代、試算してみましたよ。1年分でざっと6000万円ぐらいになりそうです・・・。やばいっすね~。ほんと。」と、電話をくれたのは、昔の人事コンサルティングの仲間で、今は某IT企業で人事を担当している人物です。
自社の未払い残業代が心配でと連絡をもらい、計算方法を伝えて帰ってきてから数日後のことでした(もちろん守秘義務契約の締結を進めながらのやりとりです)。
「それなら、2年分だと、1億2000万円か。利益どころか、会社が飛ぶね。」
と、笑えない話しを返すしかなく。
「もしかすると、既に退職した社員からの通報で、いきなり支払わなければならなくなるから、きちんと準備だけはしておいて、人事制度の変更で先の支払いも変更しなければ・・・ね」
と用件を済ませて、次回の飲み会の打ち合わせに移るのですが・・・。
この話し、非管理職の社員が100~150名の会社のお話しなのです。
その規模でこの金額なのか・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
この元凶は、いわゆる「年俸制」なのです。
先の会社ですが、かなり早い時期から年俸制を導入して、諸手当を削減して、基本給一本勝負の人事制度に変更した上、ボーナスはなく業績インセンティブのみを用意しているために業績連動だからと十分な賞与引当もないみたいで・・・。支払う原資が見当たらない状況・・・。
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そもそも「未払い残業代」とは何かを説明しなければなりません。
残業代とは、労働基準法の32条~38条で定められている労働と労働時間の中でも、32条で定める労働時間(1日8時間/週40時間)を越えて、会社業務に従事する超過時間に支払わなければならない超過勤務手当てを指します。
そして、支払われていない賃金(未払いがある場合)は、民法の債権の項により「過去2年間に遡って請求できる」となっています。(退職金はまた別途ルールがあります)
この賃金と債権に関する取り決めを2つ足し合わせて、「従業員によって過去2年間の残業代が正しく計算され、労働基準監督署等を通して請求された未払い賃金は、会社が支払わなければならない。」ということになります。
これが、先の電話での会話へと結びつくのです。
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未払い残業代
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