16年前、渋谷の小さな貸し教室に20人の生徒を集めてグロービスはスタートした。そのグロービスは今や日本有数のビジネススクールとなり、学校法人として経営大学院を開学するまでになった。本物志向のビジネスパーソンから圧倒的な支持を受けるグロービスの秘密に迫る。
堀氏をはじめとして、スタッフは毎年春に、合宿を行ない、一年の計画を議論する。そこでは徹底した現状分析や将来予測が行なわれ、それに基づいた一年のアクションが綿密に吟味される。
「まず大きなビジョンがあります。2022年にはアジアでNo.1のビジネススクールになるんだという。そのために機を読みながら、やるべきことを毎年設定し、やると決めたら必ずクリアする。その繰り返しですね」
機を見るに敏でありながらも、自分たちがわからないことにはわかるまで時間をかける。小泉改革の一貫として構造改革特区が作られ、大学院参入への道が開かれた時も、グロービスは直ちに飛びつくような真似はしていない。
「いち早く株式会社立の大学院設立に手を上げられたところからいろいろ話を伺いながら、これなら大丈夫と納得した上で2年目に申請しています」
そしてグロービスは2年後、学校法人へと進化する。
「名古屋市や愛知県は、この特区を採用する計画はなかったのです。そこで名古屋キャンパスを大学院化する残された選択肢が学校法人になることでした」
これも「顧客にとって良いこと」は何かを考えた末の決断と言えそうだ。では、今後のグロービスはどのようなビジョンに従って展開されていくのだろうか。
「2006年10月期からグロービス・インターナショナル・スクールがスタートしました。これは英語で教えるクラスです。そして来年からの英語『だけ』で学ぶMBAプログラムの開講を既に、発表しています。理由は極めてシンプルで、それが顧客にとって良いことだと思うから。エコノミクスだけを考えれば、やらないという道もあるでしょう。でも、やる。それが正しい道だから」
いよいよアジアNo.1への道を歩み始めるわけだ。といってもアジアNo.1ともなれば、そうは簡単になれるものではない。いま、そのポジションを確保しているのが上海にある中欧国際工商学院(CEIBS/シーブス)である。ヨーロッパが資金を出し、中国政府と共同で作った学校は開校して10年あまりでアジアNo.1、世界でもトップ10に入るレベルになった。
「CEIBSにできたのだから僕らにも必ずできると考えています。チエの部分である書籍『グロービスMBAシリーズ』はすでに合計で100万部を超え、今や中国語や韓国語の翻訳版も出ている。3つめのファンドも順調に立ち上がった。下地はできてきたわけです。あとはやるべきことを蕭々と進めていく。そんなところでしょうか」
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FMO第10弾【株式会社グロービス】
2008.07.01
2008.06.24
2008.06.17
2008.06.10