16年前、渋谷の小さな貸し教室に20人の生徒を集めてグロービスはスタートした。そのグロービスは今や日本有数のビジネススクールとなり、学校法人として経営大学院を開学するまでになった。本物志向のビジネスパーソンから圧倒的な支持を受けるグロービスの秘密に迫る。
第3回
「グロービスにしかない仕組みとノウハウ」
■16年かけて培った講師育成ノウハウ
「クリシンが売れに売れて、何が起こったか。講師の絶対数が足りなくなった。そこで取り組んだのが講師の育成でした」
グロービスには極めてユニークな制度がある。クオリティー・ギャランティー制度と呼ばれ、受講した内容に不満があれば受講料を全額返金するというもの。もちろん、企業研修にも適用される。こんなリスキーな制度を取り入れているビジネススクールはない。
「複数開講しているクラスについては、振替受講もできます。たとえば水曜日のクリシンを取っている方が、急な出張が入ってしまい受講できなくなったとしましょう。その場合は、同じクリシンでも別の講師が教えている金曜日のクラスを取っていいわけです」
クオリティー・ギャランティー制度だけでもリスクなのに、その上に振替受講制度を重ねるとどうなるか。水曜日のクラスで受けていたクリシンは良かったけれども、金曜日のクラスは講師が違うから内容が落ちる。だから返金してほしいといったクレームが起こり得る。
「そんなことにならないためには、クラスのクオリティーを合わせることが必須の課題となります。そこでクラスの内容や講師のクオリティーを管理することが、すごく重要なテーマになってきたわけです」
では、グロービスは講師をどうやって訓練しているのだろうか。
「僕らが16年かけて培ってきた最大のノウハウが、実は講師の育成ノウハウだと思います。最近は実務家教育といって多くの大学が取り入れていますが、たとえどんなに優秀なビジネスパースンを連れてきても、その人がそのままで優秀な講師でもある確率は高くはないはずです」
そもそもビジネスパースンには学校で教えた経験などないのだから、教え方がわからないのは当然だ。
「僕らは、優秀なビジネスパースンを、良い講師に育て上げるだけのノウハウを作り上げてきました。だから、同じ科目ならどの講師のクラスを受けても、同じ内容を学ぶことができる。他では絶対に真似のできないことだと思います」
グロービスのシステムがいかに優れているかは、ある企業研修の実例が示している。とある大規模研修でクリシンのコースが合計10クラス以上も同時に実施された。結果はそのすべてのコースについて、受講者から非常に高い評価を得たのである。
▲仕事に直結するビジネススキルから、トータルな経営ノウハウの修得まで。必要な科目をもれなく学べるカリキュラムが用意されている。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
FMO第10弾【株式会社グロービス】
2008.07.01
2008.06.24
2008.06.17
2008.06.10