成果主義の終焉。その後

 産業界で成果主義を見直す動きが広がっています。成果主義に替わる新しい人事考査制度を考えてみましょう。

 売上に替わる基準として顧客満足度や後輩育成が注目されるようになった背景に、成果主義が、「売上は上げられないけど、顧客の評判は高い」とか「後輩の指導に熱心」という人が評価されなかったことが上げられます。

 営業マンの賃金算定の際に売上金額が絶対的基準になってしまったことが第一の問題です。

 顧客対応や部下・後輩の指導が評価されないのであれば、その時間を極力削って、売上獲得に集中したいと考えるのは自然なことです。

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 年功序列を排し成果主義の導入が活発になったのは、バブルがはじけて価格破壊がトレンドになっていた頃でした。値下げで売上増が期待できないのならコストも減らさなければならない。多くの企業で人件費抑制の手段として、成果主義という人事考査が導入された側面は否定できません。

 人件費を抑えるために導入された他人が自分を評価する制度が、評価される側の社員に快く受け入れられるはずがありません。それにもかかわらず導入し、社員の士気低下を招いたことに第二の問題があります。

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 他人が他人を評価するには、3つの要素(客観性/具体性/公正性)を満たした基準を備えることが必要だと思います。

 営業マンのように成約金額という数値目標が示されるのであれば、客観性と具体性は満たしていますが、大口顧客の担当者と小口顧客の担当者の間では、公正性に関しては不満を感じる人がいるでしょう。

 ましてや、成果測定が難しい間接部門を含めた全社レベルで3つの要素を満たした基準を用意することは困難です。他人が他人を評価することの難しさが第三の問題点です。

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 私は今後の人事考査制度の中で「売上では評価しない」とすることには懐疑的です。

 「顧客の対応が得意な人」や「部下や後輩を指導するのが得意な人」が評価されるのであれば、今までのように、「売上を上げるのが得意な人」も企業にとっては評価に値する貴重な人材です。

 人事評価の項目をこれだけに限定しては、同じ過ちを繰り返すことになります。会社に貢献してくれる社員の士気が高まるような評価項目を多数備えることが必要ではないでしょうか。

 ○○が下手だから評価しないといった減点主義ではなく、会社に貢献してくれる社員のポテンシャルを高める手段としての人事考査を考えてください。

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 私は成果主義の見直しが、人事考査がコスト削減の手段になっていた時代の終焉であるのなら歓迎したいと思います。

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