世界を変える会社の作り方~5~

~スタートアップ期(2年間)に生じる壁と対策~  会社とは何か、事業とは何か、お金とは何かといったことをお話したいと思います。  私は起業を決意して、行動を起こし、何度も何度も失敗を繰り返し、ようやく2年を乗り切った新米の経営者です。まだ成功しているわけではありませんが、私がなぜ起業をし、何に失敗し、何を学んだのかについて率直にお話することで、皆さんの将来の糧にしていただければ幸いです。

エースからリーダーを目指す

 「無知とエゴ」の話に関連し、もうひとつ言っておきたいのは、経営者として目指すべき人間像についてです。

 大前提として言っておきたいのは、会社を辞める人は、会社のエースでなければなりません(自分のことは棚に上げて申し上げるのですが・・・)。つまり、会社員として「桁違い」に優秀じゃなければ、独立するべきではありません。今の環境で、優秀でなければ世界を変えるようなことはできません。会社がイヤで辞めるというのではダメです。独立前に目指すべきは、会社のエースです。スキルを磨き、卓越した成果を出さなければなりません。20代~35才ぐらいまではスキルを拡充する時代だと思います。

 ただし、独立後はスキルだけではダメです。愛、つまり思いやりが必要となります。人間としての器です。それがあると会社は大きくなれます。

 エースからリーダーを目指さなければならない。リーダーは、リードをするのであって、自分でやるのは非常に難しいことです。自分でやろうと考えるのは無知とエゴの諸産物です。歴史を振り返ってみても、事を成す人は、物事を任せることができる人です。ローマのアウグストゥス(オクタビアヌス)は、ローマの優れた皇帝といわれ、シーザーと並んで有名ですが、彼は病気がちでほとんど戦場でも戦うことができなかったそうです。だからいつもテントの中にいました。その分、人を使うのがすごく上手く尊敬されていました。松下幸之助しかり、成功者には病弱な人が案外多い。なまじスキルと体力があると、自分でやって自分が一番だと思ってしまう。これが優秀なエースの最大の罠かもしれません。

キャッシュフローとビジョンのバランス

 経営者に求められるもうひとつの要素は、バランスです。

 「キャッシュフローとビジョンとの整合性」というバランスをとらなければなりません。会社である限り、稼がなければならないし、ビジョンとの兼ね合いも考えねばなりません。頼まれた仕事を何でもやるのではダメです。そして、カネになるからやるというのでもダメです。カネにならないからやらないというのもダメです。ビジョンとの整合を考えながら、長期、短期でキャッシュフローを考えることが大事です。そのバランスがムズカシイのだと思います。それを意識して事業ポートフォリオを創らないといけないということです。

 ただ、個人的視点での意思決定の最後の決め手は、“思いやり”というか、“ハート”。頼まれたら、「仕方ない! やるしかない!」という場面もあります。そういった“愛”が長期で効いてくることもあるのではないかと考えています。

~3章 第三部に続く~

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