~スタートアップ期(2年間)に生じる壁と対策~ 会社とは何か、事業とは何か、お金とは何かといったことをお話したいと思います。 私は起業を決意して、行動を起こし、何度も何度も失敗を繰り返し、ようやく2年を乗り切った新米の経営者です。まだ成功しているわけではありませんが、私がなぜ起業をし、何に失敗し、何を学んだのかについて率直にお話することで、皆さんの将来の糧にしていただければ幸いです。
それは自分自身のプライドとエゴに尽きます。M&Aの仕事をやっていたときのヘタなエリート意識こそが最大の障壁でした。
例えば、今弊社がオフィスを構えている「ちよだプラットフォームスクウェア」。SOHOをやっている人たちがいっぱい入っていますが、オフィスは広くはありません。千代田区から払い下げたパイプイスが並べられ、机もどこかの課長の机で、引き出しに昔の人事名簿がまだ入ったままの状態だったり…。
コンサル時代の同期で、ずっと私の事業やプロジェクトを支えてきてくれたパートナーと、オフィスを構えたときに撮った写真があります。その写真の私の表情は苦笑いです。写真からは「ぶっちゃけ、こんな所、居られないよ!」という気持ちがにじみ出ています。苦笑いの表情通り、「ここから一刻も早く出たい!」と思っていました。周りのSOHOの人たちを見下していたというか、「自分は違うんだ」と考えていたふしがありました。
コンサル業界にどっぷり浸かって、ハイレベルな経営課題を扱い、トップマネジメントとの接点を持ち、一般より高めのサラリーを8年ももらっていたら、エリート意識が染みついてしまいます。そしてそれが創り出すのは本当に小さな世界観。これから早く脱却しなければなりません。エゴという名の小さな自己は、物事をストップさせる最大の壁になります。
モノを売る“動機”の話につながりますが、知識やスキルがあっても、それだけでは上手くいきません。それは、ハートを含めた本当の「賢さ」にはかなわないのです。
私が以前在籍していたアーサー・アンダーセンの事件を例に挙げます。この100年の伝統を持つ会計事務所は、2002年のかの有名なエンロン事件で淘汰された会社ですが、そのエンロンのCEO(最高経営責任者)でジェフリー・スキリングという人物がいます。
彼は、マッキンゼーからハーバードのMBAに入学する面接でこう聞かれました。
「ところで、君は頭がいいのか?」と。
彼の答えはこうでした。
「 I’m fucking smart!(とびっきり!)」。
しかし、その後の顛末はみなさんがご存知の通り。巨額の企業詐欺に手を染め、逮捕されます。“動機”が不純だと長期では決してワークしません。バリューマトリクスを売ってきた自分の経験からも言えることです。
売るものは「社会的価値」
では“動機”とはどうあるべきものなのか。ここからは、起業・事業のあるべき姿、噴出する諸問題に対する、実際の対策もあわせて紹介していきます。
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