2008.06.06
世界を変える会社の作り方~2~
山口 揚平
~スタートアップ期(2年間)に生じる壁と対策~ 会社とは何か、事業とは何か、お金とは何かといったことをお話したいと思います。 私は起業を決意して、行動を起こし、何度も何度も失敗を繰り返し、ようやく2年を乗り切った新米の経営者です。まだ成功しているわけではありませんが、私がなぜ起業をし、何に失敗し、何を学んだのかについて率直にお話することで、皆さんの将来の糧にしていただければ幸いです。
でも、会社員を辞める直前の2005年、タイのピピ島に逃亡しました。数日泊まって、成田に着いた次の日、タイで大規模な洪水があって泊まっていたホテルが流されたんです。「これは何かある」と思いました。そして何か運命的なものを感じました。そのころ、とりあえず会社を辞めたくて仕方がなかったわけですが、背中を押してくれるメッセージにも思えました。
お金以外のコミュニケーションツールがあるはず
金融会社が言うところの会社は確かに「キャッシュマシーン」であり、魂を持たない自動販売機です。
しかし、会社という法人は、ロジック(論理)だけで割り切れるものではなく、それぞれ臭いがあり、カネで計られる以外の価値があります。会社は経済体であると同時に、小さなコミュニティ(共同体)です。そして共同体は、違うルールやプロトコル(通信規約)でコミュニケーションしています。それをキャッシュで売ったり、買ったりするのが、私の違和感の本質でした。
そうこうしているうちに、社会におけるコミュニケーションの方法を、もう少し深遠で価値があり、有効なものに変えていきたいという思いが出てきました。
貨幣はもともと人と人とのコミュニケーションツールにすぎません。それが価値保存機能とか、いくつかの信用創造機能をもつことで、現実から乖離してきたというのが、金融資本主義の帰結。みんなお金が欲しいが、お金は物質の象徴でしかない・・・
M&Aのキャリアを通して、自分は思考論、つまり、考えるということを教えてもらったと同時に、徹底的な金融資本主義というものを見せつけられもしました。
この2つがトリガーとなって、私は貨幣とは何か、M&Aとは何か、会社とは何かについて考えるようになり、違和感のなかで病気にもなり、そのなかで今の会社を立ち上げたというのが、起業にいたるキャリアです。
ブルー・マーリン・パートナーズを企画会社として設立し、金融情報事業としてシェアーズを立ち上げましたが、私たちは、投資家を儲けさせることを第一の目的とする投資顧問ではありません。正確で的確な知識と情報を広く流通させることを重視しています。
投資家が儲かればいいとは思います。しかし、会社というのは、本質的に社会に価値を生み出す創造体です。自分が投資をする会社があって、その会社が上場して価値を生み出して、その価値はバックされて自分に返ってくる。そういうフローに参画する形での投資は、ただ儲かるだけの投資より、ずっと価値があると思うのです。
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