単なる制作作業では、低価格競争に呑み込まれてしまう。それぞれの会社ならではの付加価値が必要になった。 そこで、多くの制作会社では、杓子定規に SWOT分析をしてCSFを導き出してといった「Webサイト戦略策定」プロセスを加えているのが実状。 が、誤った場面で タダではない過剰なサービスを提供している様に見受けられる。
最近、Webサイト制作会社が乱立し、一段と過当競争が増している様である。
元々、サイト制作といったら、顧客要件をもとに 情報構造(サイトマップ)を定義して、文書構造(ページレイアウト)を定義してといったプロセス。
が、単なる制作作業では、低価格競争に呑み込まれてしまう。それぞれの会社ならではの付加価値が必要になった。
そこで、多くの制作会社では、制作プロセスにおいて、顧客要件(ヒアリング)の前に 杓子定規に SWOT分析をしてCSFを導き出してといった「Webサイト戦略策定」プロセスを加えているのが実状である。「Webサイト戦略策定」自体は、否定する気は全く無く 必要なものと考えるが、誤った場面で タダではない過剰なサービスを提供している様に見受けられる。
例えば、コーポレートサイト。そもそも、コーポレートサイトの一般的な役割は、会社紹介/事業紹介になるかと思われる。で、コーポレートサイト自体は、「会社/事業紹介を人がやりますか?機械がやりますか?」もしくは「紙媒体でやりますか?オンラインでやりますか?」といった種のもので、あくまでも手段で全社的に一つの機能と位置付けられる。
一機能に対して、広報担当者等サイト関係者だけで 過去のサイトログや断片的な情報をもとに、SWOT分析をして、CSFは「充実した採用サイトで若い優秀な人材を確保」、施策として「求職者向けによりわかり易い会社/事業情報を提供しましょう!」といったものができあがる。但し、求職者のコンタクトポイントは、サイトだけでないし、人材を確保する為の成功要因は、広報だけでもない。当然、人事が絡むし むしろ人事の方が大きな割合を占める様に考えられる。この戦略は、典型的な部分最適解である。
本来は、経営戦略もしくは事業戦略で、CSFは 「若い優秀な人材確保」、ではどうしたらというところで、「人材のやりがいを引き出す為に、こんな制度を!」とか「給与水準を上げましょう!」等の施策が考えられ、では、求職者にこの情報をどう伝えようか?「就職セミナーに力を入れようか?充実した就職サイトを作ろうか?両方やろうか?」とかの話になる。全社/事業戦略を無視して、サイト主導で戦略をたてるのは、果たして、全社的に有用なものになりうるか?疑問である。
もちろん、サイトで閉じた世界での戦略ではなく、サイト制作をトリガーとして、全社的に経営層を巻き込んだ より上位レベルでの戦略策定作業であれば意味のあるものとなるであろう。
また、誤解の無い様に、ショッピングサイト等のサービスサイトにおいては、ショッピングサイト イコール 一事業のケースが殆どだと思う。この場合は、サイトで閉じた戦略でも意味を成す事もありうるだろう。
いずれにせよ、サイト種別に応じて、「Webサイト戦略策定」サービスの必要性や巻き込むべき関係者が別れると考えられる。
エフィジェント株式会社
赤秀 有為
Web Partners Tokyo : 「東京で活動するプロフェッショナルなWeb専門家集団。」
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2009.02.10
2015.01.26
エフィジェント株式会社 代表取締役コンサルタント
慶應義塾大学 環境情報学部卒。IBM/サン・マイクロシステムズ/PwCコンサルティング社にて、いずれもコンサルタント職として計10年在籍。 その後、エフィジェント社を創業し、代表コンサルタントとして、システムコンサルティング、システム開発活動に従事。専門システムは、デジタルサイネージ/EC/業務システム。