世界を変える会社の作り方~1~

2008.06.04

経営・マネジメント

世界を変える会社の作り方~1~

山口 揚平

~スタートアップ期(2年間)に生じる壁と対策~  会社とは何か、事業とは何か、お金とは何かといったことをお話したいと思います。  私は起業を決意して、行動を起こし、何度も何度も失敗を繰り返し、ようやく2年を乗り切った新米の経営者です。まだ成功しているわけではありませんが、私がなぜ起業をし、何に失敗し、何を学んだのかについて率直にお話することで、皆さんの将来の糧にしていただければ幸いです。

 いろいろガマンしてやってきたことがここで爆発しそうになりました。

 「なんだよ、やってられっかよ!」って。

 そのとき、年配の方が来て言うのです。「違うんだ」と。
 「我々が知りたいのは、情報じゃない。情報じゃなくて、この会社を動かしている根本的なメカニズム、価値の源泉を知りたいんだ」と。そして「この会社の価値はいくらなのか」。知りたいのはその2つだけだと。

 まさに目から鱗。

 考えてみれば、私の大学の卒論なんてネットが普及し始めたばかりのころで、全部コピペの切り張りのようなものでした。初めて教わったわけです。この仕事で大事なのは「考える」ということだと。

 今でこそ、思考論とか構造化論とか貨幣論についていろんなメディアで執筆させて頂いていますが、「考える」ということを知ったのは、このときが初めてでした。

 物事を「考える」ということ。考えて「ものの本質」を見抜くということ。

 その大切さに気づいてからようやく人並みに仕事が出来るようになったように思います。どんなに徹夜して調べてもダメです。因果関係を見抜けなければ価値はありません。たとえば、人事制度と売掛金管理はどう関係しているのか。売掛金管理システムは、どういう思想で作られているのか。その思想は、会社の文化にどう根ざしているのか。その文化は、われわれの会社とどう関係があって、どうシナジー(相乗効果)してくるものなのか。それらがクライアントの知りたいことでした。

 システムの背景にある思想、思想の背景にある根本的な信念や哲学まで掘り下げた上で、表出している現象を見なければなりません。そういう本質的なことから考えるという作業を丁寧に始めるようになって、ようやく仕事ができるようになりました。見えないものを見る力、それこそが考える力というものだと認識することができました。

トントン拍子でM&A時代を謳歌

 考える大切さを学んでからは、順調そのものでした。上司の転職を機に、アーサー・アンダーセンに入社。そこで某巨大複合施設の再生プロジェクトに携わります。その後、デロイト・トーマツに戻り、M&Aファームの設立に参画。某巨大複合企業や巨大小売業の再建に、チームとして携わります。

 複合施設の案件ではいろんなことを学びました。関わったのは、ハゲタカ(破綻証券投資戦略)ファンド論議を巻き起こした、とある有名なファンド会社の人たち。いわゆる超エリートの方々で、下っ端連中とは普段は目も合わせてくれません。でも、ワーキング・キャピタル(運転資金)とは何なのか、財務の知識などなど、たくさんのことを教えてもらいました。今から考えると本当に何も知らなかったのだと思います。

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