キャリアの要諦<1> 偶発を必然化する

2007.05.07

組織・人材

キャリアの要諦<1> 偶発を必然化する

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

自分が向かう先のキャリアを100%計画などできない。大事なことは、大いなる意志のもとに、偶発的な出来事とどう仲良くやっていくかではないか。

【Envisioning Career-scape 第2景 ?1】=======

今回から数回にわたり「キャリア形成」について書きます。

変化の時代、不透明な時代にあって、
自分の仕事人生をどうつくっていくのか、
それは多くの働き手にとって大きな関心事であります。
また、雇用する会社側にとっても、
自分の仕事人生をどっぷり組織に預けようとする
依存的な従業員が増えても困りますので
適切な意識醸成教育を施したいという思いもあります。

キャリア形成は、各人の働き様、生き方、価値観・信条といった
個性の問題ですので、万人に有効なハウツー・成功術はありません。

私が研修で伝えている内容は、
キャリア形成の意識の持ち様をどうすればいいか、に留まります。
私は自分自身の立場を、あくまで
“助発者”(相手の自発を助ける者)としています。

で、私が伝えている重要な3つのことは

・『偶発の必然化』
・『イメージ・プルの力』
・『発色性』       です。

今回は、『偶発の必然化』について触れます。

*****

キャリア形成に関する理論で私がそれを最初に知ったとき
いたく気がラクになったものといえば、
米スタンフォード大学・クランボルツ教授の『プランド・ハプンスタンス理論』(Planned Happenstance Theory)です。

日本でもかなり有名になった理論ですが、かいつまむと、

キャリアは100%自分の意のままにコントロールできようものではなく、人生の中で偶然に起こる予期せぬさまざまな出来事によって決定されている事実がある。むしろ大事なことは、その偶発的な出来事を、主体性や努力によって最大限に活用し、チャンスに変えること、また、偶発的な出来事を意図的に生み出すように積極的に行動することである。そのために、各人は好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心を持つことが大切だという論旨です。

私は今でこそ、近未来の仕事の目標やライフワークを
具体的に語ることができますが、
20代から30代前半にかけてのサラリーマンのころは、
日々の仕事は面白いんだけれども
職業人としての将来図がなかなか描けずにいました。

会社からのキャリアプランシートには「5年後の姿を記入せよ」とあるし、
転職の面接では「10年後のあなたを語ってください」のような質問はあるし、
キャリア計画を明確に持てない自分に何か欠落感を抱いたものでした。

ところが、クランボルツ教授は、
キャリアづくりは、
ある程度“行き当たりばったり”でいいという。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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