北の都・札幌は冬場、どか雪に悩まされる。降り積もった雪を溶かす融雪装置だが、従来のものはムダの多さが欠点だった。「何とかムダをなくし、環境ダメージを抑えられないか」。エコで北海道を良くしたいと願う若手社長の熱い思いが生んだ画期的な装置が『ゆりもっと』だ。
「インターネットは当然ですが、ケータイにもとてつもない可能性があるんじゃないかと思い始めたんです。これはケータイの音を売り歩いている場合じゃないなと。すでに携帯電話に音を売るプレイヤーは掃いて捨てるほどいる。僕一人が抜けたって誰も困らないですよね。それなら自分にしかできない社会貢献は何なのかと真剣に考え始めたんです」
自分でもよくわからない焦燥感に駆り立てられた入澤氏は会社を辞め、再びアメリカに渡る決意を固める。何かやれる、いや絶対にやらなくてはならない。それもネットを使って新しいことを。そのためにはアメリカで勉強し直すことが必要だ。
「冷静に考えれば、ちょっと普通じゃないですよね。何をやりたいのかさえわかっていないのに、とにかくアメリカに行かなきゃいけないなんて強迫観念に駆られるのは。でも、そのとき僕は26歳で脂が乗り切っていた。仕事に対するエネルギーが無茶苦茶あったんです。やることさえ見つかれば、怒濤の快進撃だ、みたいなノリですね」
ところが急転直下、厳しい現実が入澤氏を襲う。クリプトン社を辞めるのとほぼ同じ時期に、経営不振のため父親が会社を畳まざるを得ない羽目に追い込まれてしまったのだ。
「そこで、本当に仕方なくです。当初1年間は滞在する予定だったアメリカ行きを2週間だけ、シリコンバレーの企業見て回るツアーに参加することで我慢することになったんです」
人生は万事塞翁が馬という諺がある。失意の中で訪れたシリコン・バレーで入澤氏は、ある人物と出会う。奇跡的ともいえるその出会いが氏の企業マインドのスイッチを入れることになる。
⇒次回「梅田望夫氏に押してもらったスイッチ」へ続く(全四回)
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(インタビュー/構成:竹林篤実)
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FMO第8弾【エコモット株式会社】
2008.05.20
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2008.04.28