8️⃣人を育てるという仕事― 2014年の取材記事から、人材育成の本質を考える ―【第8章】

2026.08.05

組織・人材

8️⃣人を育てるという仕事― 2014年の取材記事から、人材育成の本質を考える ―【第8章】

富士 翔大郎
人材育成コンサルタント、シニアインストラクター

最終章 人材育成の手法は変わる。しかし、人が育つ本質は変わらない。 2014年。 人材開発専門誌『人材教育』の取材を受けた当時、私は「研修は組織を変える」というテーマのもと、人材育成についてお話しした。 あれから12年。 この連載を書くにあたり、当時の記事を改めて読み返した。

【連載】人を育てるという仕事

― 2014年の取材記事から、人材育成の本質を考える ―

最終章

人材育成の手法は変わる。しかし、人が育つ本質は変わらない。


2014年。

人材開発専門誌『人材教育』の取材を受けた当時、私は「研修は組織を変える」というテーマのもと、人材育成についてお話しした。

あれから12年。

この連載を書くにあたり、当時の記事を改めて読み返した。

懐かしさを感じる一方で、一つのことに驚いた。

考え方が、ほとんど変わっていなかったのである。

もちろん、教育を取り巻く環境は大きく変わった。

オンライン研修が当たり前になり、動画学習が普及した。

DXが企業経営の重要課題となり、生成AIが教材を作る時代になった。

2014年には想像もできなかった世界である。

それでも、私の中で変わらなかったものがある。

それは、

「人は、人によって育つ。」

という考え方だった。



この連載では、

「研修は組織を変える」

「内製化」

「現場主義」

「研修設計」

「教育品質」

「教育担当者の役割」

「OJT」

について書いてきた。

振り返ってみると、それぞれ別のテーマのようでいて、すべて一つにつながっている。

その中心にあったのは、

「人を信じること」

だった。

人は変われる。

人は成長できる。

人には可能性がある。

教育担当者の仕事とは、その可能性を信じ続ける仕事なのだと思う。



30年以上、人材育成に携わってきて、私は何度も失敗した。

思うように受講者が集まらなかったこともある。

期待した成果が出なかったこともある。

現場との温度差に悩んだこともある。

もっと良い研修ができたのではないかと、自分を責めたこともあった。

教育担当者という仕事は、成果が見えにくい。

営業のように数字で評価されるわけでもない。

開発のように形として残るわけでもない。

だからこそ、自分の仕事に迷うことも多かった。

しかし、それでも続けてこられた理由がある。

数年後に、

「あの研修がきっかけでした。」

「あの時の言葉を今でも覚えています。」

「部下の育成で役に立っています。」

そんな言葉をかけてもらえることがあったからである。

教育担当者の仕事は、今日ではなく、未来に評価される仕事なのかもしれない。



この連載を書きながら、私は一つのことを改めて考えていた。

もし今、新しく教育担当者になった人から、

「一番大切なことを一つだけ教えてください。」

と聞かれたら、私は何と答えるだろう。

おそらく、こう答える。

現場へ行ってください。

現場の声を聞いてください。

管理職と話してください。

若手社員と話してください。

仕事を見てください。

教育は会議室では生まれない。

現場で生まれる。

この原点だけは、どれだけ時代が変わっても忘れないでほしい。



生成AIは、人材育成を大きく変えていくだろう。

教材は自動で作られる。

一人ひとりに合わせた学習も当たり前になる。

教育担当者の仕事も、大きく変わるはずだ。

しかし、私は悲観していない。

むしろ、人にしかできない仕事の価値は、これからさらに高まると思っている。

相手の表情を見ること。

迷いに気付くこと。

挑戦を後押しすること。

成長を一緒に喜ぶこと。

それは、人にしかできない。

だから私は、AI時代になっても教育担当者という仕事はなくならないと信じている。



この連載は、2014年の取材記事をきっかけに書き始めた。

しかし、書き終えた今思う。

本当に書きたかったのは、取材記事のことではなかった。

「人を育てるという仕事」

そのものだった。

私は30年以上、この仕事に携わることができた。

多くの受講者と出会い、多くの管理職と議論し、多くの現場から学ばせてもらった。

人を育てる仕事は、決して一人ではできない。

現場があり、上司がいて、仲間がいて、受講者がいる。

そのすべての人たちに育ててもらいながら、私は教育担当者として歩んできたのだと思う。



もし、この連載を読んでくださった方の中に、人材育成に携わる方がいらっしゃるなら、お伝えしたいことがある。

どうか、自分の仕事に誇りを持ってください。

教育は、すぐに成果が見える仕事ではありません。

しかし、人の人生に関われる仕事です。

会社の未来をつくる仕事です。

そして、人の可能性を信じ続ける仕事です。

これほどやりがいのある仕事は、そう多くありません。



30年以上、人材育成という仕事に携わってきて、私が最後にたどり着いた答えは、とてもシンプルだった。

人は、人によって育つ。

制度が人を育てるのではない。

研修が人を育てるのでもない。

AIが人を育てるわけでもない。

人を育てるのは、

人を信じ、

成長を願い、

挑戦を支える、

もう一人の人である。

その本質だけは、これからどれだけ時代が変わっても変わらないだろう。

だから私は今も、そしてこれからも、

「人を育てるという仕事」

に、誇りを持ち続けたいと思う。

https://note.com/bostonmio/n/ne3b6d54b7bfa

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富士 翔大郎

人材育成コンサルタント、シニアインストラクター

● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民

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