北米生徒数目下25万人。300万人への拡張も夢ではないといわれる教育系フランチャイズの雄、KUMON(公文)。競合他社の追随を許さないその強さの秘密に迫ってみた。
日本が世界に誇る教育ビジネスとは?
それは、「KUMON(公文)」です。北米に25万人の生徒数を誇り、
「教育系フランチャイズ」としては、まさしく「押しも押されもせぬ」王者の座に君臨しています。
「フランチャイズで食品といえばマクドナルド、教育といえばKUMON」
と言われるくらい、北米においてもそのブランドは浸透しているのです。
今日は、そのKUMON、「独り勝ち」の秘密に迫ってみました。
さて、早速本題に入りますが、
KUMONはなぜここまで強いのか、その答えは、ずばり、
「顧客を知り尽くした上での事業設計」
にあるように思います。
① ターゲット顧客の明確な定義
② 「顧客を知り尽くす」ことの徹底
③ 「顧客ニーズ」に基づいた事業設計
の3つのステップを抜け目無く遂行していることが、KUMONの強さの根源だと思うのです。
フランチャイズ・ビジネスで「顧客」といえば、二通りの顧客を指します。
ひとつは、サービスの利用を通してメリットを享受する「最終顧客」。
そしてもうひとつは、「フランチャイジー(加盟店)」です。
北米KUMONのターゲット顧客とは?
まず「最終顧客」から。本家である日本の公文は、「生涯教育」を謳い、子供から大人まで幅広い事業展開を行っているようですが、北米KUMONは対象を3歳から高校生までの子供に絞っています。そしてさらに、その年齢層の中でもある特定のグループに照準を合わせているのです。
その特定のグループとは、
「アジア系移民または移民の子供」です。
アジア系アメリカ人の人口規模は、今日1,200万人程度といわれています。北米KUMONは、アジア系移民の教育に対する高い関心と、「我が子に最高の教育と、将来に向けての最高のチャンスを与えたい」と願う切なる親心に訴えるビジネスなのです。
さらにKUMONのすごいところは、この「最終顧客ターゲット」をベースに、もうひとつの顧客である「フランチャイジー」のターゲットを定めたことです。
アジア系移民は、中国人ならチャイナ・タウン、インド人ならインド人街、というように、自分と同種の人々が集まる地域に居住する傾向にあります。また、スーパーや美容院など、贔屓にするビジネスも、自分と母国を同じくする人々が営んでいるお店を好んで利用することが多いといえます。これは、教育ビジネスも例外ではありません。アメリカの社会学者、ジョン・ナイスビットが提唱した「グローバル化が進めば進むほど、人間は部族(トライバル)化する」というコンセプトですね。
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仕組み
2009.12.01
2009.10.06
2008.05.01
ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。