北の都・札幌は冬場、どか雪に悩まされる。降り積もった雪を溶かす融雪装置だが、従来のものはムダの多さが欠点だった。「何とかムダをなくし、環境ダメージを抑えられないか」。エコで北海道を良くしたいと願う若手社長の熱い思いが生んだ画期的な装置が『ゆりもっと』だ。
中途半端な学歴は高卒も大卒でもない。日本の慣習に従えば、中途扱いである。留学して4年間きっちりと学んでいれば話は別だが、2年で戻ってきた入澤氏を受け入れてくれる企業は、そう簡単には見つからなかった。しかもバブルが弾けた後で北海道の景気は最悪に近い時代である。20社近く面接を受けてことごとく不採用となった入澤氏は、たまたまクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤社長に拾われる。
「あの『初音ミクの』クリプトン社です。今ではとんでもなく有名な会社になってしまいましたが、当時からすでに音源を扱う技術力とビジネス基盤のとてもしっかりした企業でした。しかもラッキーなことに採用するのは中途だけ。僕にとってはこれ以上ない幸運な出会いでしたね」
伊藤氏は社員採用に関してはっきりした基準を持っていた。それが中途採用であり、しかも妙な色の着いていない若者だけを採るのである。そうした人材をきっちりと育て上げる確かな手腕も伊藤氏は持っていた。
「だからでしょうね、クリプトンのOBで起業した人は、僕の先輩だけで5人もいます。社員教育にも熱心で、おもしろそうなセミナーを自分で見つけて行きたいといえば、必ず行かせてくれる。そんな社風でした」
そろそろ日本にも、アメリカのネットバブルの熱が届きつつあった時代である。本場でネットに触れ、熱に浮かされるようにコンピューターサイエンスを学び、たとえおぼろげながらでもその本質を掴んでいた入澤氏だからこそ,伊藤氏の目に留まったのだろう。クリプトン社で入澤氏はケータイの世界に飛び込んでいくことになる。
⇒次回「一冊の本が開いた新しい進路」へ続く(全四回)
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(インタビュー/構成:竹林篤実)
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FMO第8弾【エコモット株式会社】
2008.05.20
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2008.04.28