序章 ― 小出しにしてきた自白 ― 私はこれまで、自分の考えを小出しにしてきた。 会議の中で。 雑談の中で。 朝礼のスピーチで。 全部は語らなかった。 語れば、自慢に聞こえる。 煙たがられる。 変わり者と呼ばれる。 実際、若いころはそうだった。
『楽をするために、私は苦労しよう』
序章
― 小出しにしてきた自白 ―
私はこれまで、自分の考えを小出しにしてきた。
会議の中で。
雑談の中で。
朝礼のスピーチで。
全部は語らなかった。
語れば、自慢に聞こえる。
煙たがられる。
変わり者と呼ばれる。
実際、若いころはそうだった。
会社のイベントが嫌いだった。
意味のない飲み会が嫌いだった。
成果につながらない残業をしたくなかった。
やりたい仕事だけに集中したいと思っていた。
「協調性がない」
「会社人間になれ」
「若いくせに生意気だ」
そう言われた。
だが、私の中では一貫している。
楽をしたい。
誤解されやすい言葉だ。
怠けたいわけではない。
責任を負いたくないわけでもない。
無駄なことをしたくないだけだ。
意味のあることに、集中したいだけだ。
だから私は設計する。
営業を楽にするために、データベースを使った。
裏メニューのバッチ処理を使い、
自分だけのセグメント抽出をした。
無差別に撃たず、当たりやすいところだけを撃った。
売上は伸びた。
だが私が嬉しかったのは数字ではない。
「楽になった」ことだった。
名寄せが何年も止まっていると聞けば、
文字を正そうとせず、比較軸をずらした。
壱も一も、1。
拾壱も十一も、11。
まず粗く束ねる。
完璧はあとでいい。
負荷を下げる。
合理化とは、削ることではない。
余力を生むことだ。
余力がある人しか、攻めに回れない。
ここで誤解してほしくない。
私はコストカッターではない。
過去の上司には、自らをコストカッターと誇る人が多かった。
それで評価され、昇進した人もいる。
だが私は、その立場に立ちたいと思ったことはない。
コスト削減は今日の数字を守る。
売上向上は明日の会社をつくる。
私は明日側に立ちたい。
だから負荷を下げる。
削るためではない。
生み出すために。
最近、若者が「コスパ」と言う。
私はその言葉が特別好きなわけではない。
好きなのは合理化だ。
だが彼らの言葉の奥にあるものは理解できる。
無駄をしたくない。
意味のあることに時間を使いたい。
自分のエネルギーを、設計したい。
それは、私が若い頃から言っていたことと同じだ。
Z世代は突然現れたのではない。
昔からいた。
ただ、言えなかっただけだ。
若手がわからないのではない。
理解しようとする器量が問われている。
楽をしたい人しか、合理化はできない。
合理化できる人しか、余力は持てない。
余力を持てる人だけが、
攻めに回れる。
私は短期の楽を選ばなかった。
その日の残業という楽を捨て、
設計という先払いの苦労を選んできた。
楽をするためには、いくらでも苦労をいとわない。
この言葉を、入社間もない朝礼で話したことを覚えている。
当時は変わり者扱いだった。
だがそれを真面目に聞いていた仲間は、
確実に成長していた。
だから、もう小出しにしない。
きちんとまとめて伝える。
これは経営論ではない。
革命でもない。
一人のビジネスマンの姿勢だ。
私は金字塔を立てようとしてきたわけではない。
不可能に見える負荷を取り除き、
余力を生み、
攻めに回った。
振り返ると、
そこに金字塔があっただけだ。
この本は金字塔ではない。
次の金字塔を生む種だ。
あなたはどうする。
短期の楽を選びますか。
それとも、
長期の楽を設計しますか。
https://note.com/bostonmio/n/n476533bf3fc8
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2010.03.20
2015.12.13
人材育成コンサルタント、シニアインストラクター
● 人材育成、DX・IT、コンサル、マーケの経験を踏まえて、人材教育の新たなアプローチを探求中 明大法なのに齋藤孝ゼミ🤣 教免3種ホルダー イノベーション融合学会専務理事 教育研究家、モノカキの時は、「富士 翔大郎」と言います。天才トム・ショルツの「BOSTON」と「マニュアル車」「海外ドラマ」をこよなく愛する静岡県民
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