中国の宴席で気をつけるべきこと

2008.04.12

ライフ・ソーシャル

中国の宴席で気をつけるべきこと

坂口 昌章

中国は人脈の国というが、本当の意味は?

◆話の内容よりも人格が優先
 私は商談する時、相手の「話の内容」を理解しようとする。しかし、中国人はまず「人格」を見極めようとする。話の内容よりも、相手の氏素性や考え方を見抜こうとするのだ。 日本人である私は、最初から相手を信用している。多少人格に問題があろうとも、それとビジネスを結びつけては考えない。ビジネスの時に考えるのは、相手の会社の与信であり、担当者の人格ではないのだ。しかし、中国人は個人を優先する。担当者の人格に問題があればビジネスは行わない。
 中国人は日本人と同様に宴席が好きだが、その目的は異なる。日本人は仕事が終われば無礼講だ。宴席にまで仕事の話を持ち込むのは無粋とされるし、むしろ、遊びの時間にはくだけた印象を与えることを心がける。自分から馬鹿になって、相手に対して心を許していることを表す場合も多い。
 中国の宴席は仕事の一部であり、相手の人格を観察する場である。そのためには、一芝居打つ場合もある。極端な例をあげよう。ある日本人の体験談。宴席で突然、札束を積み上げられ、「あなたにプレゼントする」と言われた。「いわれのないお金を受け取る訳にはいかない」と突っぱねたら、突然態度が変わり、その後はビジネスがスムーズに進んだという。正直な人間として認められたのだろう。

◆女性の話には気をつけよう
 日本から中国に単身赴任すると、中国人女性と親しくなる人も少なくない。駐在する日本人男性の多くは、中国語も十分に話せない。異文化コミュニケーションのストレスも相当なものだろう。仕事が終われば、日本語の話せる女性とお酒を飲みながらストレス発散することも一概には責められない。
 中国では女性社長も珍しくない。女性社長の前で、水商売の女性の話は禁句である。間違いなく、軽蔑される。そして人格が疑われる。人格が疑われればビジネスは成立しない。
 男性相手でも、同様に気をつけるべきである。昼間の打ち合わせで合意に達しない案件でも、夜の席で人格を認め、翌日には合意に達することも珍しくはない。逆に、まとまっていた商談も夜の席で人格を疑われ、翌日破談になることもある。
 もちろん、聖人君子のように真面目くさっていても駄目だ。ビジネスセンスのない懐の小さな人間と思われるだろう。くだけた話もできて、大いに酒を飲み、料理を食べ、それでも乱れず洗練されたユーモアを持ち、女性へのエチケットも忘れない人。自分の自慢話だけでなく、気持ちよく相手の話を引き出せる人。会社や肩書ではなく、個人の教養や魅力を発揮できる人を目指したいものだ。

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