4月1日に「サントリーDAKARA」が製品リニューアルし、新らしいCMもオンエアされた。そこに隠された狙いとは何か。
ソフトドリンク・DAKARAのCMといえば多くの人が「小便小僧」と応えるだろう。小便小僧がキャラクターとして登場したCMは、DAKARAが新発売された2000年3月15日放映開始分から2005年3月25日放映開始分までに作られた10本だ。確かに印象深いキャラクターであり、長期間登場していたので3年以上経った今日でも十分記憶に残っている。
では、次のCMシリーズは何だったでしょうか?・・・と聞かれて応えられる人は少ないだろう。答えは「土屋アンナ」だ。2005年6月7日放映開始。その次が2005年7月9日放映開始の「速水もこみち」。あまり印象に残っていないのではないだろうか。
その次は覚えている人もいるだろう。「よからぬブルース」と題されて、2006年4月18日から2006年7月17日まで4本連続で、小泉今日子、山崎努、なんとメーテルと鉄郎、そして南海キャンディーズが歌った。「私の中のよからぬモノが ♪ ジョジョビジョバ~ ジョビジョバ~ ジョジョビジョバ~ ♪」。
その次。これがついこの間まで放映されていたもの。ちょっとかわいいので覚えている人もいるかもしれないが、意外と認知していない人もが多い。ピーターラビットの絵本キャラクター「こぶたのピグリン・ブランド」がチェコ共和国プラハの街を舞台に、大槻ケンヂのどこか脱力した歌声に乗ってバレエを踊るCMだ。ちなみに、ピグリンの着ぐるみに入って踊っているのは新国立劇場バレエ団ソリストの本島美和。
2007年4月10日から2007年8月1日で4本作られた。キャラクターの血筋、ロケ地の風情、ボーカル、ダンス、どれも本格的。・・・なのに覚えていない人が多い。
CMは企業からのメッセージ表現だ。ではサントリーはDAKARAの何を伝えたいのか。
DAKARAの開発物語は、「イノベーションの本質」野中郁次郎・勝見明・著(日経BP)で詳説されている。
(書籍紹介は弊社Blogを参照→ http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2007/07/post_521b.html )
スポーツ飲料市場参入を狙うサントリーは、先行する「大塚製薬・ポカリスェット」、「日本コカコーラ・アクエリアス」に対抗すべく苦心の末に打ち出したのが、「排出」という概念。従来の「水分吸収」だけでなく、身体の中の良くないもの、老廃物や塩分などを排出促進させるというものだ。
それ故、小便小僧は発売以来、5年間、10本ものCMで排出を象徴するため、ひたすら小便をし続けた。
続く土屋アンナと速水もこみちでは、あまり「排出」の概念が強調できなかったためか、次の小泉今日子に始まるタレントたちは「ジョジョビジョバ~」という強烈なメッセージを放ってきた。
続く「こぶたのピグリン」は「カラダのことを気にしているのに実行できない」というちょっとかわいいダメキャラを演じているが、やはり少々メッセージが薄い。実は冷蔵庫からDAKARAを取り出すと、冷蔵庫のドアに張ってある「糖分・塩分・カロリー」というマグネットがバラバラと落ちることで、それらをチャラにできることを表わしているようなのだがインパクトが弱い。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.06.21
2008.07.08
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。