前編に引き続き、金森流「ビジネスセンスを磨く」後編をお届けします。前編では、①「自分のキャリアやスキルの定期的な棚卸しとアップデート」②「バランスのとれたプロデュース力」③「人脈をメンテナンスし紹介を得る」を紹介いただきましたが、後編では、ご専門のマーケティングに関する部分についてお話しを伺いました。
このような視点とフレームワーク思考ができるようになると、考えるのが大分楽になります。ですから、それらをきちんとインプットすることがセンスを磨くことにもなると思います。正しいインプットが頭の中にされていなければ、出てくるのもけっきょくプロダクトアウトや顧客視点が抜けているアウトプットになってしまいます。徹底した顧客視点を持つこと、王道のフレームワークを使ってアウトプットをきちんと出していくこと。そこを基本にするということです。
猪口 たしかにそこがずれていると、ペルソナをやったところでけっきょく属性で括ってしまいますよね。全員の思いが違うので、永遠にかみ合わなかったりします。
金森 「ターゲットは20代女性です」といって、いくら20代女性を生き生きと描いたとしても、それは空想の物語でしかありません。ターゲットのペルソナで一番重要なのは、その人のニーズとその人の購買決定要因、KBFです。ニーズから入って、セグメンテーション、ターゲティングをしていないと、そこがブレブレになってしまいます。
猪口 セグメンテーションとターゲティングの具体的なアウトプットがペルソナですね。
金森 「20代女性」のようなガバガバなセグメンテーション、ターゲティングをしていたら、そこから先はただの妄想の世界で議論することになってしまいます。いかにきちんとニーズを絞り込んで、それに従った属性が付いた締まったターゲット像が作れていて、それに肉付けしていくかがポイントなのです。
「セグメンテーションはニーズで括る」というのは、つまり同質のニーズを持った固まりがセグメントなわけです。20代女性、中高年とするのは、20代女性は全部同じニーズを持っている、中高年は皆ニーズが同じ、と言っているのと一緒です。それがまかり通っているのが大間違いで、今ものが売れない原因にもなっています。フレームワークのきちんとした使い方を覚えることは、きちんとしたアウトプットを出すための磨くべきポイントです。
猪口 BtoBの場合のペルソナは、担当者レベルになってきますか。
金森 BtoBの場合は、ニーズというより課題です。どんな課題を持っているか、どうやってその課題に応えるかが大事です。課題感は組織内のどこの担当者かによって変わってきます。DMU(Decision Making Unit:購買決定関与者)ごとに違うので、きちんと洗い出しをして、担当者ごとの課題、ニーズ、KBFを押さえていくのがBtoBの命です。そこがきちんとできているかどうか。DMUを押さえるために、DMUごとのペルソナを作ったりもします。BtoBは購買の意思決定が合理的かつ計画的にされるので、ある意味分かりやすいですね。
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