金森流「ビジネスセンスを磨く」前編をお届けします。前編では、①「自分のキャリアやスキルの定期的な棚卸しとアップデート」②「バランスのとれたプロデュース力」③「人脈をメンテナンスし紹介を得る」を紹介します。
猪口 その経営視点はセンスの中で最も必要だと言ってもいいくらい重要ですね。全体のバランス感覚が分からないことには、何も判断できません。
金森 今コンサルティングをしているのはIT系の会社で、製品やアプリケーションの開発の人たちへのフィードバックをセールスの現場からするのですが、そのような組織間連携も電通ワンダーマンで経験しました。電通ワンダーマンは広告会社で、プランナーとクリエイターが社内で内製していました。クリエイターが好きなものを作りたがるのを、うまくフィードバックして、プランナーが意図するところ、クライアントが納得するものを作らせるためには、プロデュースする力が必要です。どうやって作る人にうまくフィードバックしていくか。これはITの世界でも同じなのです。
ビジネスセンス③「人脈をメンテナンスし紹介を得る」
金森 ビジネスセンスを磨くためには、自分のキャリア、スキルの棚卸しも大事ですが、もう一つ大事なのが人脈の棚卸しです。紹介で入ってくる仕事が一番確実ですから、人脈のメンテナンスはすごく大事だと思いますね。今はコロナ禍も挟まって、人脈のメンテナンスがしにくい時代になっています。だからこそ、そこをきちんとやっておかないといけないような気がしています。
猪口 大事ですね。ただ、大事だと分かっていながらなかなかできません。
金森 昔、生命保険の代理店の人たちのセールスプロセスを分析するという仕事がありました。営業成績トップで億超の人たちから全然食えないような人たちまで20人ぐらいにインタビューをして、その人たちのセールスプロセスを全部洗い出して、何が違うのか調査しました。結果は、やっているプロセスには実はそれほど違いはなくて、何が違うかというと、そのプロセスをいかに確実にやっているか、いかに丁寧にやっているかの違いでした。
例えば成績が悪い人は、年賀状や誕生日の定型メッセージは送っても、それ以外のちょっとした時候の挨拶等でコンタクトはしません。年賀状も印刷して終わりですが、できる人は手書きでその人向けに気遣うようなメッセージを添えます。丁寧に相談に乗るので、相手は保険の見直しをして、信用してくれて、知り合いにも紹介してもらえます。この仕事はリファラルマーケティングで、いかに紹介を受けるかというところで大きく差が出てきます。
猪口 私も同じような取材をしたことがあります。皆同じツールを使って、同じようにやっているのですが、売る人ほど自分なりの工夫をしていました。資料を説明する時、自分だけ何か切り抜きを入れたり、ちょっとしたトークを挟んだりすることで、自分の言葉で喋っているので説得力も違うし、熱の入り方も違います。けっきょくその真剣味、自分に何ができてどうしたいのかという向き合い方が大事なのでしょうね。コロナ禍になって、そのための時間はたくさんあったわけなので、そこで棚卸しをきちんとできた人とできなかった人でだいぶ差がついているかもしれませんね。
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