商社での勤務、そして経営コンサルティング会社、日本ヒューレット・パッカード社を経て、2007年にBFCコンサルティングを設立。多くの企業の事業力強化・新規事業創出支援のコンサルティングに携わっています。いまだ現役として活躍を続ける三宅さんに、イノベーションを起こすための重要なポイントについてうかがいました。(聞き手:猪口真)
研修の最後に1人ずつ感想を言ってもらったのですが、私の講義そのものよりも、グループごとのディスカッションの時間を多く取ったことで、いろいろな人の考え方、発想、着眼点の違いをまざまざと感じたという意見が多かったですね。それこそがイノベーションの原点だと思います。
猪口 ある大学の先生が言っていましたが、日本人はどうしてもアントレプレナーシップが足りないそうです。アントレプレナーシップの定義として、「チャンスがあるかもしれないと思った時、今は自分のリソースにはないのだけど、何とかしてそれを持ってきてそれに挑む」ものだとおっしゃっていました。そのような観点から見たら、メンバーの方々のアントレプレナーシップはいかがでしたか。
三宅 私がもっとも強調したのは、「皆中小企業なのでコアは持っていても、新しいことをやる時に1社ではできない」ということです。オープンイノベーションという言い方がありますが、コアだけはしっかりと持ったうえで、足りないところは社内外関係なく持ってくることが必要です。
研修が終わった後、会社に戻るとステージは違っても皆が新規事業という実務にぶち当たりますが、いろいろなところから人、モノ、ノウハウなどのリソースをかき集めてきてやっていくということは、しっかり学んで帰ったと思います。
猪口 三宅さんのもう一つの事業、RFIDに関することと、新規事業、イノベーションというテーマで共通する点はどのあたりですか。
三宅 RFIDの仕組みは、ICタグの中にあるICチップにアンテナを使って電波を送って、データを読み取って、それをサーバーで商品と紐づけて、滞留在庫がどこにあるかといったデータを取ってきます。このような技術を入れると最終的には業務の大革新が起こる大きな可能性があるのですが、結局1社でできることではありません。やはりいろいろなベンダーさんと絡まないとできない。ICタグ一つとっても、複数のタグベンダーがいるし、ITベンダーもいるし、読み取り装置のハードのベンダーもいる。それらを全部束ねて初めてイノベーションができるわけです。こうした技術を入れて業務効率を格段に高めようとすると、いろいろな社外のベンダーと付き合う必要があります。
社内でも、販売企画という商品自体をデザインする企画部隊、生産を握っている部隊、倉庫を管理している部隊、製品や素材を調達・輸入している部隊、全部バラバラでやっていたのが、RFIDを入れるとなると、横串で連携をしないと効果が出ないので、皆だんだんとコミュニケーションを取るようになります。その中でリーダーシップを取るのはコミュニケーションがうまい人です。いろいろな部署に気軽に顔を出して、「あの部隊はこういうこと考えている」「この部隊はまだまだ認知が遅い」と、細かく調整して全体最適化できる人はすごく重宝されます。「イノベーション」をしっかりと成し遂げるためには、今まで付き合いがなかった人たちともしっかりとコミュニケーションを取る「コミュニケーション力」がすごく大事です。
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