B2B、電子調達、調達購買改革の専門家。また調達・購買分野の日本国内での地位向上、バイヤーの育成支援等に数多くの活動を行う野町さん。昨今、「調達」「サプライチェーン」の重要性が非常に高まるなか、今企業に求められていることに関してお話しを伺いました。(聞き手:猪口真)
野町 そう思います。私が調達購買のコンサルタントをやると言ったとき、周りの調達の人たちからは「ニーズがないから、やめた方がよい」と言われました。それでも一応25年間生計が立てられています。また、この25年の間にいろいろなトレンドや改革のやり方が出てきて、どんどん進化しています。サプライチェーンもまさにそうで、さらに早くから改革が始まっています。
サプライチェーンの構造を変える柔軟性が大切
猪口 サプライチェーンの構造改革や調達改革というのは、具体的にどのようなことですか。IT化、予測のスキル、リスクマネジメント的なことも含まれるのでしょうか。
野町 それだけではありません。例えば、ものが入ってこなくて製品が作れないとき、市場に代替品があったとしても、価格が高ければ日本の企業は即時に購買する決断ができない場合が多く、他国の企業に買い負けてしまうのです。ですから、平時でもすぐに決裁できるような業務の仕組みを作っておかなければいけません。また、新製品を開発するときに調達性が良い部品を採用するような取組みですが、これは開発購買といって、以前はコスト削減の観点から行っていたのですが、供給面から調達性がよい部品を採用するなどの仕組みづくり、もやっていくのです。こういったことはまさに業務や取組みについてのコンサルです。
さらに、生産から調達まですべて複線化を検討している企業もありますが、こういう生産体制の整備などもコンサルのテーマとなります。今、日本の企業はチャイナリスクを非常に気にしています。中国の生産がなくてもものが作れるようにするということも、コンサルとしてニーズが高いですね。
猪口 そんなふうにもっと視野を広げれば、いくらでもコンサルニーズがありますね。
野町 日本企業はこういったことに気が付くのが遅いので、本当に頑張ってほしいですね。私が言いたいのは、サプライチェーンをこうしなさいということではなくて、「サプライチェーンの構造を変える柔軟性が大切」だということです。
猪口 日本は元々そういうことが得意だったはずです。資源がないので、買ってきて売るしかないわけで。
野町 メーカーが皆困っている中で、ダイキン工業さんの業績発表は素晴らしいと思いました。原材料の市況価格が高騰し、購入品の費用が高まっているのに、同じだけ価格に転嫁できていて、今期最高収益になるという見通しでした。私がすごいと思うのは、全社をあげてやむを得ない市況の高騰をきちんと価格に反映させて、それを消費者やお客さんが受容しているという状況です。これは、企業としての説明責任を果たしていて、顧客もやむを得ないと思っているから実現できるわけです。そのようなことがしっかりできる会社が、今後伸びていく会社です。多くの日本企業の経営トップは、もっとサプライチェーンや生産、調達に目を向けることが大事です。今までは「お客さんに転嫁できないからお前ら何とか(吸収)しろ!」だったのが、そうではないということに気がついて、動き出した会社は強くなります。今期の収益を見ると本当に対照的ですよ。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
INSIGHTNOW!でコンテンツ・マーケティングをはじめませんか?
提供会社: | インサイトナウ株式会社 |
---|---|
対象: | 現在のWebマーケティングに限界を感じている方 コンテンツはあるが、どのように発信すればいい... |
時期・期間: | ご要望に応じますが、半年以上のご契約をおすすめします。 |
費用: | 記事の配信方法、頻度、作成方法によって異なりますので、お問い合わせください。 |
備考: | 投稿した記事内にお問い合わせボタン、ホワイトペーパーダウンロードボタンの表示により、興味を持っ... |
インサイトナウ編集長対談
2023.03.24
2023.08.28