「行動しない(実行しない)理由」はいくらでもあり、簡単に挫折しがちですが、それでも「実行したい」と思えば、多くの人は実行できなかった原因を考え、取り除こうとします。 「今抱えている仕事を減らさなければ無理だ」「忙しすぎて新しい仕事は受けられない」といった感じです。こうしたアプローチを原因論的アプローチといい、うまくいかない原因を見つけ、取り除くか改善することで解決を図ろうとします。
ですから、逆説的な言い方にはなりますが、「何もできなかった」というのは、どこかで「できなくても良い」という目的のために起きたことだということです。実は「やりたいと思ったけれどもなかなか行動できない」ことを心のどこかで、望んでいたということにほかなりません。残念ながら、現在の自分の姿というのは、これまで自分が選択してきた結果なのです。
つまり、目的に反してできなかったということではなく、「やらない」ことを目的にしてきた結果、現在の結果になっているわけです。
ですから、「このためにこれを行うのだ」「私はこうありたい」という強い目的意識を持つことが必要であり、目的が明確になれば、自ずと人は手段を考えて行動するということです。「できなかった」ことに原因を探っている状況のときにも「やりたいこと」はあったかもしれませんが、明確化が不十分だったと言えるでしょう。
「こうなりたい」「これをしたい」という目的が鮮明になれば、仮に別の仕事が邪魔をしてできなかった場合でも、「こういうやり方もできるかもしれない」というように選択肢を広げることにもつながります。
目的論的アプローチとは、ビジョンや価値観を見つめることにほかなりません。人は誰でも「こうなりたい」という願望を持っています。まずはその願望を具体化し、文書化してみることが重要となります。
具体的な目標やアクションプランがすぐに思いつかなくても、「できることなら将来、自分の会社を持ってみたい」「体が動くうちにトライアスロンに挑戦してみたい」「地域に根差した産業を支援してみたい」「芸術をたしなみ、子ども達に教えてみたい」といった、夢や価値観に向かい合い、書き出してみるのも良い方法です。
また、アドラーの言葉に「人の心理は物理学とは違う。問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべきなのだ」というものがあります。(アルフレッド・アドラー『一瞬で自分が変わる100の言葉』ダイヤモンド社)
できない原因をあげてもきりがなく、モチベーションや前向きの姿勢がどんどん失われてしまいます。であるならば「こういうことはできないか」「もしかしたらこうしたら打破できるかもしれない」「緊張するが、○○会で発表してみよう」といった、可能性に向き合うほうが、楽しく前向きに過ごすことができるのではないでしょうか。
引用元:フランクリン・プランナー https://www.franklinplanner.jp/mag/
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