/匿名の読書猿氏が著した『問題解決大全』(フォレスト出版)は、労作の良書だ。とはいえ、この本、元ネタに引っ張られて、その要約がかならずしも問題解決というテーマの下にまとまっていない。というわけで、メモ書き程度だが、その40の方法について、その追加的な解説をかんたんに書き留めておこう。/
S08 特性要因図
別名、フィッシュボーン分析。現状を尻尾として、頭が上がる要因を下に、頭が下がる要因を上に矢印で記入していく。そして、自分たちでコントロールできる要因と、偶発的な外部の要因を見分け、前者については改善し、後者についてはリスクを監視し、また、部分的にでも小骨を加えてその要因をコントロールし、できるだけリスクを抑え込む。たとえば、自社の株価であれば、費用逓減や新製品開発などは自分たちで上向きできる要因だが、他社との商品競合、為替の悪化などは魚の頭が下がる外部要因。しかし、為替変動も、先物予約や現地法人化などで、部分的ながら自分たちでコントロールすることでリスク軽減はできる。
S09 文献調査
会議室で似たり寄ったりの経歴のメンバーが知恵を絞ったところで、同じような発想にしかならず、解決策も見つからず、見つかったとしても、知見不足で大きな穴があるかもしれない。それゆえ、むしろ図書館で既存文献を調べ上げ、関連事項を網羅して、あらかじめ問題の全体像を把握しておくことが大切。たとえば、マイクロビーズが洗顔に有効だ、と思っても、それに似たプラスチック小片を魚たちが口にして環境破壊を起こしている、なんていうこともありうる。
(以下、つづく)
解説
2022.02.01
2022.02.22
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2022.05.06
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2022.08.06
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。