前代未聞の体験となったコロナ過ですが、とりわけ就職活動をする学生にとっては、わずか数ヶ月の差が人生が変わるほど大きな違いとなってしまいました。2020年2月までと、3月以後は別世界の就活が待っていたのです。そんな学生たちにっとて今、「企業」はどんな風に見えているのでしょう。
1.オンライン化がすべてを分ける
生活様式を変えてしまうほどの激しい環境変化は職場も同じです。満員電車で定時出社という「当たり前すぎる」会社員生活だったものは、一気にオンライン/リモート/在宅勤務として実現しました。
長年「未来の働き方」だった在宅勤務ですが、とっくの昔にIT技術はそれを実現できるようになっていたにもかかわらず、会社というものは頑として満員電車による定時出勤を譲りませんでした。コロナはこの壁をいとも簡単に壊し、またITリテラシーのある会社員は、むしろ効率的に業務遂行できるようになっていきました。
しかし緊急事態宣言も終わった今、再び満員電車による定時出勤は復活しています。在宅勤務など許さない人々が会社の意思決定をしているからです。就活でこうした会社の体質は確実に露わとなっています。
「やっぱりズームじゃなくて直接会わないとオーラを感じない」
「俺は目の色で人を見極める」
といった類いの、オンライン全否定派、リアル原理主義者が多くの会社で実権を握っているという実態が露わとなっているのです。
2.「社員第一」の実態
コロナ吹き荒れる今年の5月、ある都内のIT企業の選考で「当社は社員の健康第一に、消毒や換気を徹底して安全を図っているので、安心して来社して下さい」とリアル面接に呼び出されたという相談を受けました。県境を出てはいけないという大学のBCP基準があるので、就活学生が面接のための上京に躊躇するのは当然です。
私は企業にはいろいろな考え方や方針があり、良い悪いではなく、そうした経営方針にあなた自身が合うかどうかで決めてはどうかとアドバイスしました。リアル原理主義の経営が明らかな会社は、恐らくIT企業であっても定時出社やリアル会議を優先したいのかも知れません。地方大学の学生保護の姿勢などには関心ないのかも知れませんが、コロナ過の東京で、どれだけその事業所「だけ」が仮に安全だとしても、そこに至るためには高額な新幹線代を負担し、在来線を乗り継いで新幹線の駅まで行き、東京に着いてから会社のある駅までは山手線や地下鉄を乗り継いで行くリスクは「考えない」会社なのかも知れません。
そういう行動を社員に求める「社風」を是とするなら受ければ良いし、そのような職場や経営陣とは合わないと感じるのであれば、これまた企業選びの判断材料とすべきだろうと思うのです。
3.是が非でもコロナ前の風習に戻りたがる企業
コロナ勃発当初、接客や小売業、サービス業界で「マスクをして接客するのは失礼」という言説が飛び交いました。外資の超大手ファーストフード店ですら、スタッフがマスクをするには本部?本社の許可がいるとの説もありました。
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2020.08.03
2020.08.20
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。