​就活面接必勝法。国会答弁を見習うな

2020.05.25

組織・人材

​就活面接必勝法。国会答弁を見習うな

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

コロナで大混乱となっている現学部4年/修士2年生の就活ですが、オンライン面接中心に着実に進んでいます。そんな中、面接でうまくいかないという学生の皆さんに、やってはいけない、面接の悪い見本があります。

・国会答弁というグダグダコミュニケーション
黒川検事長の検事総長任用を巡る問題は国会だけでなく、芸能界も巻き込み国民的議論となりました。結果として政府与党はコロナの真っ最中、他の案件を押しのけてまでゴリ押し成立させることを断念し決着、と思いきや、当のご本人が賭け麻雀をやっていたなどと、意表を突いたオチで一回転ひねりの着地となりました。

政治的な信条はさておき、コミュニケーションの専門家として、私が注目したのはこの黒川検事長定年延長を巡る国会討論(予算委員会)です。野党はその手続きの異常性や官邸に忖度した検察官を優遇する無法なやり方を攻撃します。言葉を極めて厳しい追及です。しかし安倍首相や森法相はどんなに厳しい言葉にもノラクラ答弁で返すだけ。結局国会討論で話が進むことは無く、与野党協議とその後の与党の法案取り下げというグダグダ展開。

結果として辞職となったことは、野党の追及が成功?なのかも知れませんが、少なくとも予算委員会や国会での討論は、戦略コミュニケーションという視点では決して褒められたものではありません。

なぜか?
戦略コミュニケーションは結果を出すことが目的だからです。

・厳しい追及のどこがダメ?
野「自分たちに都合良い人物を、検察のトップに据えたいんでしょ!」
首・法「そのようなご指摘は全くあたりません」

こういった言葉の応酬は交渉において全く意味を成しません。よく白黒つけるという言い方がありますが、白黒つけるのであれば言い逃れできないような「認める以外に無い」言及ができなければ成立しません。単に相手の非を突きつけても、それを否定されたら終わってしまうようでは全く結果など得られないからです。

「このような都合の良い対応を過去してきた事実」を認めさせたり、「本来ならあり得ない判断」であることを過去と比較したり、相手の非をロジックであぶり出すことで、「あたらない」とか「違う」といった逃げを打てないようにすることが戦略コミュニケーションです。

実は就活面接で同じようなグダグダアピールが行われているのです。

「面接はコミュニケーションの場」と言われます。私もそう思いますが、その意味するところを本当に理解できているでしょうか?文字上の意味はわかっていても、その『コミュニケーション』を、単なるしゃべりの上手さとカン違いしている人が圧倒的に多いと思います。

・就活面接で「自分の強みはコミュニケーション能力です」と言ってしまう愚
コミュニケーションはしゃべりの上手さでは全くありません。いかにESに書いた通りセリフをスラスラ言えるかという、完全に間違った面接練習をしている学生は、ちょっと話をすれば即座にボロが出ます。ロジックではなくしゃべりの流ちょうさしか練習していないので、会話というコミュニケーションが成り立たないのです。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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