3月からの就活本格化を前に、すでに21就活(21年4月入社の新卒学生の採用)は始まっています。「就活セクハラ」と呼ばれる、就活する学生へのセクハラではついに逮捕者まで出ています。単に愚か者個人の所業では済まない、ハラスメント犯を出した企業にも深刻な被害をもたらすリスクです。
人事の専門家であれば昨今のハラスメント、コンプライアンスへの認識は十分あるはずですが、特に現場部門で社内の部下と接することが多い管理職の場合、ハラスメントやコンプライアンスに反する言動もナアナアで済まされることが少なくありません。それを部外者である就活学生にやってしまうと、取り返しのつかないダメージを会社に与えてしまうのです。
そもそも面接とは何を聞き、どんなことを検証するためのものなのかを理解せず、バイト採用の要領で大学の話や趣味、特技などを聞いただけで「目の輝き」とか「オーラを感じる」というような非科学的なデタラメな根拠で採否の意見を述べる、全くもって面接官不適任な者が、恐らく相当数いるのではないかと私は予想します。
・面接でのNG質問
以下の内、採用面接においてNGな質問はどれでしょう?
「尊敬する人物は誰?」
「ご出身はどこ?本籍は?」
「あなたのお父さんの職業は何ですか?」
「彼氏/彼女はいますか?」
「結婚/出産の予定は?」
労働局などの「不適切な質問例」によれば、すべてだめです。思想信条や出自、男女雇用機会均等法などに触れる恐れがあり、何よりも本人に一切の責が及ばない情報によって採否を決めるという、きわめて不合理な質問だからです。
ほとんどの素人面接官は、決してハラスメントや就活生の弱みにつけ込んで己の欲望を満たそうという意図ではなく、むしろアイスブレイクや場を和ませようという意図から、こうしたNG質問をしてしまうのです。もしこんな質問を学生にぶつければ、たちまちネットの就活情報交換掲示板などに「○○株式会社の面接でハラスメントされた!」と書き込まれるのではないでしょうか。
ハラスメント問題と同じく「そんなつもりではなかった」という言い訳など通る訳がなく、善意であってもハラスメントは完全に成立してしまいます。就活ハラスメントは、被害者の学生に深い傷を残すだけでなく、発覚すれば企業そのものが著しいダメージを負うものです。人事部門が事前にしっかり面接官をトレーニングしておかないと、こうしたコーポレートブランドに甚大な影響を与えるリスクが野放しになるということが、この先就活本番では大きな課題となることをぜひ自覚して下さい。
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2020.03.17
2020.05.25
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。