儲けの仕組: 「ドラッカーの言葉を信じない」

画像: Juhan Sonin

2015.07.30

経営・マネジメント

儲けの仕組: 「ドラッカーの言葉を信じない」

入野 康隆

事業計画書の「儲けの仕組」のセクションについて要点をまとめます。

中級者でもよくある間違い

■ 「先行優位性」を安易に信じる
先行優位性(First-mover advantage)というビジネス用語があります。

市場に先に参入した企業のほうが後から市場参入をした企業よりも有利だという考え方です。

しかし、

・ 先行企業が有利な業界もあれば、不利な業界もある
・ 2番手・3番手の後発企業が勝つ場合の方が統計的には多い
・ 先行企業はアーリーアダプター層などが育つまでは儲からない
というのが現実です。

「先行優位性」って、経営理論に由来するカッコいい言葉ですが、あくまで理論は理論で、現実はどちらかというと逆が真なので、「先行優位性」だけを信じるのは避けるべきです。

■ 「いいモノが必ずしも売れない」という逆説を誤解する
「いいモノが必ずしも売れない」という言説はマーケティングの重要さを強調しているだけで、商品・サービスの開発や製造に過度な妥協をして粗悪品を流してもいいということではありません。

「いいモノが必ずしも売れない」という逆説はもっともらしいのですが、
だからといって良いモノを作る努力を怠るのはよくありません。

最も儲かるのは「長期的にリピート客をつかむこと」。良いモノでないとリピートしないですよね。

■ Win×2しか考えていない
2者間の力関係だけを考えると、ベンチャー企業は圧倒的に不利な場合が多い。ビジネスは所詮はパワーゲームなので、いくらWin-Winの精神と交渉のテーブル上は言っていても、2者の力関係ではベンチャーは不利な条件を飲まされることも多いのです。

Win×2よりもWin×3。

3者以上の枠組みで考えましょう。

ベンチャー企業は3者以上の微妙なパワーバランスの中で初めて有利な条件を引き出せるケースが多いのです。

■ 安易に広告モデルに走る
特に最近はウェブビジネスやフリーペーパービジネスに多いのですが、「ユーザからはお金を取れないので、広告主からお金を取ろう」というケース。

広告モデルの成功には高いハードルがあるので要注意:
・ クリティカルマス:広告媒体として最低限集めなければいけないユーザの数
・ 顧客の質:「無料の商品・サービスに馴れた顧客は有料商品やサービスをなかなか買わない」と広告主が気づきはじめている

上級者の使うテクニック

■ 「ビジネスモデルは後づけ」というドラッカーの言葉を信じない
「ビジネスモデルは後づけ」とは経営思想の大家ピーター・ドラッカーのお言葉なのですが、真意は「ビジネスモデル」という言葉の定義のあいまいさ(←筆者サイト参照)を言っているだけです。

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