”KKD”。もはや誰もが知る略語である”KY”の親戚ではない。その遙か以前から現場たたき上げのビジネスマンにとっての精神的支柱ともいえる言葉だ。
”KKD”とは「勘」と「経験」と「度胸」。自らを強く信じて行動する判断軸とでもいえるだが、昨今ではそれは前近代的と批判されることが少なくない。
しかし、それがダメなのかと問われれば、筆者は否と言いたい。
筆者と同年代以上ぐらいの現場でバリバリ働いてきたミドル層には、やはりKKDの人が多いのだが、あるきっかけで驚くような変身を遂げることがある。そのコツとは何かはもう少し先にして、そもそものKKDとは何かをもう少し掘り下げてみたい。
「勘」とは英訳すればintuitonであり、直感力だ。もっと創造的なinspirationと解釈してもいいだろう。
「経験」practicalなknowledgeと解釈できよう。
「度胸」はこれまた直訳すればcourageだが、最終的には責任を持ってdecisionを下さす力だといえよう。
つまり、現場での実行力とマネジメント力には欠かせない要素を表わしていると言うことができるのだ。
ちなみに、一部ではKKDを「気合い」と「根性」と「努力」という解釈もあるようだが、さすがにそれは「気持ち」だけに偏っており、バランスを欠くと思うので、この際はその解釈はいったん横に置いておきたい。
さて、「勘と経験と度胸」に問題があるとすれば、それが全く個人のアタマの中に存在していたり、カラダに染みついていたりして、客観的に判断できないことではないだろうか。故に、時に失敗をする。また、失敗を繰り返す。
できるだけ失敗を回避し、成功率を高めるためにはほんの少しのコツが必要なのだ。それは、フレームワークを用いた論理的思考法である。現場力を蓄積した人間が、自らの経験を今一度、フレームワークに落とし込み、ロジカルに組み立て直すことができると驚くほどの変身を遂げる。また、思考のスピードが上がり、人に伝える力も向上するなど、その効用は大きい。
端的に言えば、いわゆる5W+1Hだって思考や伝達のためのフレームワークなのだ。
他にも、PEST、3C(4C)、5F、SWOT、VCなどの代表的な環境分析のフレームワークなど枚挙にいとまがない。
各フレームワークにはそれぞれ適した使い方やクセがあるのだが、それをふまえた上で使いこなしができると思考生産性は飛躍的に向上する。また、自分が考えやすいようにカスタマイズしたり、自分オリジナルのフレームワークを作ってもいい。
フレームワークを使う上での唯一の留意点は、情報整理に留まらないことだ。フレームワークにファクトを落とし込むと、実にうまく整理できる。しかし、それに満足してはいけない。そこから何が言えるのかという、結論。「意味合い」が重要なのだ。最終的にはdecisionmakingができなければ意味がないのである。
このサイトでも各ビジョナリーによって、数多くのフレームワークが紹介されている。是非、実際の課題解決に使ってみていただきたい。
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2008.03.14
2008.05.29
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。