企画書や事業計画書を作成するにあたって、経営学者が熟慮を重ねたさまざまなフレームワークを使いこなすことは非常に有効ですが、ときとして私たちは自らフレームワークを捻り出す必要に迫られます。 しかし、ゼロベースからのフレームワーク開発は誰にでもすぐにできることではありません。 そこで今回は、そんなシーンに有効な準用思考をご紹介します。
・準用思考とは
・準用思考で得られること
・準用思考の要素
・準用思考の具体例
○準用思考とは
ここでの準用とは、「本来目的とは違うけれど、必要な修正を加えて適用すること」をいいます。
昨今の○○思考ブーム(?)にあやかって、「積極的に準用を行い、目的達成をめざす思考方法」を準用思考というとします。
わかりやすい例としては、戦争での勝利を目的とした戦略・戦術を、市場競争で生き残るための企業経営に生かすことが考えられます。
ただし、企業間の競争は、以下の点で部隊間の戦闘と異なり、適宜修正を加えて適用する必要があります。
・相手を完全に殲滅(せんめつ)できないこと
・常に多数乱戦状態で局所的な勝利の意味合いが異なること
・競合他社だけでなく顧客という重要なステークホルダーがいること など
より具体的な準用思考を利用した業務効率アップの事例としては、サウスウェスト航空は整備スピードの向上をめざし、F1のピットインの作業を参考にした、というものがあります。
実は、私自身もビジネスゲームをデザインする際には、しばしば準用思考を用います。
ゲームの主要要素は間違いなくルールであり、ビジネスゲームにおけるルールとは、その世界を支配するものといえます。
では、どのようなルールを適用するのか?というと・・・ありきたりのフレームワークでは、ちょっとつまらないというか、説教くさい疑似体験ゲームになってしまうので、自分で捻り出す必要があるのです。
○準用思考で得られること
優れたフレームワークは、ちょっとしたヒネリを加えるだけで、他の目的達成に対しても、完全とは言えないまでも比較的大きな成果をもたらしてくれることがあります。
また、学術ではなくビジネスとして考えた場合、得られるリターンに対して、それ以上のコストをかけては、その評価はイマイチとなってしまうでしょう。
準用思考のポイントは、フレームワークとしての完全さよりも、想定される成果への費用(時間)対効果に注目する、といえます。
言い換えれば、準用思考を用いると、目的達成の方法をゼロベースで考えるよりも、時間とコストの観点から、比較的効果のあるフレームワークを効率的に導きやすくなります。
○準用思考の4要素
目の前の課題に対して準用思考を用いるにあたって、重要な要素は次の4つが考えられます。
・適用フレームワーク(目的とアプローチ)
・適用対象課題
・共通するころ/異なるところ
・より適切な適用のための修正箇所
次のページ○準用思考の具体例
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.05.09
2008.05.28
株式会社エデュテイメントプラネット 代表取締役
社内教育担当者・教育事業者・学校法人を対象に、研修(授業)企画・教材開発サービスを行う。 特に、繰り返し実施する研修で、講師の品質に大きく左右されず、常に一定品質以上の教育効果を生むことをめざした研修の企画・開発を行っている。 開発した教材のテーマやメディアは多岐に渡り、ビジネスゲーム『ロボロボ』は韓国大手製鉄会社でも活用されている。