グローバル経済を遠めに見ると、米中貿易摩擦の動向が依然として不透明であり、メインテーマとしてどっしりと居座っているようです。 その狭間で日本経済の動向を見ると、どうしても悲観的になってしまいます。最近の経済動向、政治動向、そしてそれを踏まえた日本の金融市場、為替動向を検証してみたいと思います。
GDP発表
前回取り上げた、老後に2,000万円は必要であるという金融庁の提言レポートも、ジワリと日本経済に暗い影を落とすのではないかと懸念されているのではないでしょうか。
若い世代から、消費を控える行動が出てくるのではと懸念します。
最近では金融機関の投資セミナーが活況であり、老後資金捻出のために消費を控え、可処分所得を預金、投資資金に回す動きが今後見られるのではないかと思います。
日本第1四半期GDP確報値が6月上旬に発表され2.2%前年比となっており、第2四半期GDP発表は8月上旬に予定されています。
インバウンド需要の落ち込み、例年より長い梅雨、そして2,000万円年金問題などが影響すると、悪い数字の発表と言う結果になるのかもしれません。
引き続き新卒者の採用は好調であり、IT技術者は高額な給与で引っ張りだこ状態、そして大企業の定期昇給は依然として好調なのはポジティブに考えたいところですが、消費者の財布の紐は固いのが現状のようです。
日経平均と米ダウ平均
株式市場は昨年後半以来同水準で一向に上昇の気配を示していません。下記グラフ(出所:Bloomberg)をご覧ください。
上のグラフが日経平均、そして下のグラフが米ダウ平均で、一年の期間で示しています。これを見ると日米の現状の経済状況を示しており、株式市場は半年先の経済状況を表しているとよく言われています。
グラフ中央の半年前の状況から日経平均とダウ平均を比較すると明確で、日経平均は21,000円前後のレンジから抜け出すことは出来ずにいます。反対に、ダウ平均は22,000ドルを最安値に現在は27,000ドル台に乗せて史上最高値を更新している状態にあります。
米国は米中貿易摩擦にも関わらず良い景況感を続けていて、FRB(米連邦準備理事会)は、今月末に利下げ、そして年末までに追加利下げも考えているのではと観測されています。
日本は政策金利がゼロ金利であり政策金利の下げようがないジレンマに陥っており、日本国債10年は現在-0.15%水準に位置します。
イールドカーブコントロールにより、ゼロ金利を中心に上下0.20%の許容範囲を日銀は設けていて、こちらも打つ手なしのジレンマに陥っています。
金利が低いことは住宅ローン金利を低くしているメリットがありますが、反対に預金者は利回り期待をすることは出来ません。そして金融機関の収益を圧迫することになります。
次のページドル円の動き
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26