中国も苦しい経済状況では?

2019.06.24

経営・マネジメント

中国も苦しい経済状況では?

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米中の貿易摩擦が一向に解決の方向に向かわないなか、米国、欧州そしてオセアニア地域などの景気後退が観測されています。 米国のFRB(米連邦準備理事会)は次回FOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げ予想を暗に発表、欧州ではECB(欧州中央銀行)が利上げ時期の先延ばしを発表、オーストラリアではRBA(豪準備銀行)が今月利下げを発表、そしてニュージーランドではRBNZ(NZ準備銀行)が先月利下げに踏み切っています。

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不動産動向

もう一つの消費動向を探る数字は不動産動向です。
こちらは、都市部での不動産価格が高騰したためにどうしても手を出せないといった消費者もあるようで、不動産は高止まりの動きとなっています。
また日本の不動産業界では、昨年から中国人投資家がこれまで東京、大阪、福岡で投資目的で購入した不動産物件を売りに出す傾向が続いていると筆者は耳にしました。
ここでもやはり、中国の景気減速感から、当面不動産は売却して利食いをして、手元に資金を確保しておきたいという中国人投資家のディフェンシブな心理が働いているように思います。

中国政府の動き

中国でも内需中心に消費が冷え込む気配を示している中、中国政府も景気対策を打ち出す方針のようで、景気刺激策の一つとしてインフラ建設促進に動いているようです。
金融を除いた総債務のGDP(国内総生産)に対する比率が今年3月末で248%と過去最高を更新し、昨年12月末から上昇幅は5.1ポイントと3年ぶりの高水準ということです。
地方政府の借金が拡大する方向で政策を修正する方向に動いていて、また金融機関の融資が今年第1四半期には、6.3兆元(約100兆円)と四半期ベースでは過去最高を記録しています。
不良債権が膨らむ傾向のある中国企業への融資はリスクを伴います。そのようなリスクを内包しても、景気浮揚させることが第一と考えている中国政府の動きではと推測します。
中国人民銀行も緩和政策の打ち出しており、今後も預金準備率の引き下げを行う方向にあるようです。こちらでも情報が十分公開されていなく、どこで最新の預金準備率を検証すればよいか筆者は苦労しています。
しかし預金準備率引き下げの方向にあるのは確実なようであります。

分かりにくい中国の経済統計ですが為替の動きは明確で、為替金利が専門領域である筆者にとっては分かりやすいのです。
下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は最近の米ドル/人民元の為替レートの昨年7月から今月までの動きを示しています。
これを見ると、昨年後半から人民元高の動きにあり、そして今年4月からは6.700水準から急激に人民元安の動きになっています。そして5月に入ってからはピタッと動きを止め、レートの変化がない状態となっています。
こんな為替レートは全く不自然な動きと言え、一部にはうがった見方もあるようです。
4月初めの人民元急落局面では、中国政府が輸出増進のために意図的に人民元を操作しているのではないかとの観測です。今月末の大阪でのG20で米中首脳会談を控え、中国が人民元安を一旦阻止しているのではないか、と。
現在は1米ドル=6.8800人民元であるようです。

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