前回の記事「大手企業も活用!? クラウドファンディング市場が急拡大中!〈1〉」(https://www.insightnow.jp/article/10489) では、クラウドファンディングの仕組みと市場の様子について解説をした。 現在、クラウドファンディング市場は大きく拡大しているところだが、その認知度はまだまだこれからというところ。一般消費者がクラウドファンディングに興味を持ったとき、何に気をつけて始めればいいのだろうか。 今回はクラウドファンディングのメリットやデメリットを説明するとともに、これまでにあったクラウドファンディングの実例を紹介していく。実際にクラウドファンディングを始めるときの参考になるだろう。
③プロジェクトは失敗もある
起案者のプロジェクトを支援したものの、失敗し、お金が戻ってこない場合もある。この点を理解しておくことが大切。
大企業もクラウドファンディング活用に積極的
以前は、個人の夢を実現するために利用されることが多かったクラウドファンディングだが、近年は大企業などでも活用するケースが増えている。
繊維メーカーの東洋紡は、犬用の衣料ブランド「HUGLABO」の立ち上げのために、クラウドファンディングを利用した。これは、一人の社員の「犬用の衣服は見た目重視のものばかりで不満。保湿や防水加工など、機能的にも人並みの仕様にできないか」という発想から始まった。
しかし、採算の悪い事業を再編し、収益を安定させてきた会社はえてして新規事業には消極的だ。そこでクラウドファンディングを利用することになる。結果、数カ月で総額100万円という目標金額の3倍もの資金が集まることになる。これで会社も発売を決断し、大きな成果を収めた。
大企業であっても新規事業に参入するときは大きなリスクを伴うが、クラウドファンディングなら、売れるかどうかわからない商品であったとしても、出資状況で世間の反応を知ることができる(今後開けるか否かの手がかりはつかめる)。そのうえで、リスクを最小限に止めることができるというわけだ。
公的機関にも目立つ、クラウドファンディングの成功例
実は意外なところで、税金で支援されているはずの国公立病院も、クラウドファンディングで資金を集めるケースが増えている。一例をご紹介しよう。
東京の国立成育医療研究センターに、2018年8月、白血病の子どもの治療に使う無菌室が2室増設された。「国立」のため、国から手厚い支援があるように思われているが、実際のところ病院経営は主に診療収入で賄われており、慢性的な資金不足に悩まされている。そこで当該病院はクラウドファンディングを活用。4日間で1500万円、最終的に約2カ月で約1900人から3100万円ほどが集まった。
また、長野県立こども病院も、クラウドファンディングで「ドクターカー」を購入。既存のドクターカーの走行距離が40万キロに達し、老朽化していたからだ。ドクターカーには医療に関する設備や機器が必要なため、新規調達となれば、かなりの費用が必要となる。結果、約2カ月で目標を大きく上まわる2500万円超が集まった。
こうした国公立病院などは、国や自治体の財政難に加え、採算が取りにくい分野にも取り組まざるをえない役割がある。そうした事情に対してクラウドファンディングはきっちりとフィットし、成功を収めているケースが目立つ。
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