労働施策総合推進法の改正案、いわゆるパワハラ防止法が可決、成立しました。企業には対策義務化が課され、早ければ大企業は2020年4月、中小企業は2年後の22年4月となる見込みです。ハラスメント研修では、官公庁や大手から中小企業までさまざまな職場、それも管理職向けのセミナーを行っている立場から考えます。
企業側にはどんな意図であれ、ハラスメントを防止する義務が課されました。見逃したり、ハラスメントを見て見ぬふりをした責任は会社にきます。「防止法」自体に罰則が無くとも、当然パワハラ裁判はこれまでもできました。当然今後もパワハラで訴えることはこれまで以上に容易になります。
そんな時に「指導の一環だった」ことは、学校で教師が児童を殴った場合、もはや現状ではどんな理由があれ教師側が責任を問われるのと同じです。生徒側に非があったとしても、教師が責任を問われるのは理不尽ですが、これは生徒側も責任を問われることで、教師の責任がゼロにはならないと理解すべきでしょう。
管理職の皆さんは、残業代は出なくなるわ、雑用は増えるわ、部下には何も言えないわで、そもそも管理職になるメリットあるの?と感じるかも知れません。しかし部下を指導することは業務です。部下の人格を否定することが禁じられるだけであり、指導自体は管理者として、当然遂行義務があります。この線引きをぜひ理解していただだきたいと思っています。
関連記事
2019.10.15
2020.02.14
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。