文化放送The News Masters TOKYO『マスターズインタビュー』。 東京農業大学を退官した後も、6つの大学で教鞭をとる多忙な小泉武夫さん。 近年の発酵ブームもあって引っ張りだこである。長年の小泉ファンで、著作も愛読している文化放送『The News Masters TOKYO』のパーソナリティのタケ小山も大興奮。 希代の発酵学者とともに不思議でおいしい発酵の世界へ出発!
小説家が第二の人生、人間は健康で好きに生きれば熟味が出る
小説としては7作目になる新作の主人公は、築地で働くマグロの解体屋。少年時代から築地で修行したマグロのプロが、一念発起して「料理屋」を始める、それも魚のアラ専門だ。
「築地の人脈で、市場の知り合いや有名店から新鮮で格安なアラを下取りして料理をする男の話です。料理屋として大成功しますが、ただのサクセスストーリーではなくて、アラまでうまく食べ切る日本の魚食文化の奥深さとか、築地のエコシステム、新内節など民俗芸能の保存の問題、あらを司る「アラ神様」の存在など、一冊の本で日本の食文化を巡るつながりが見えてくる話です。アラ屋はフィクションですが、うまいですからね、誰かやったらいいですよ、きっと成功すると思います(笑)」
小泉さんは求められて大学で教鞭をとっているが、第二の人生は料理と小説に力を注ぎたいのだそうだ。豊富な知識と経験から、食にまつわる物語は際限なく誕生しそうだ。人生において食べることの次に好きなのが書くこと。
「日経新聞の連載は25年続いていますが、一回も休載していないのが自慢です。書くときは常に空腹を心掛けています。私の小説の題材は食べ物。だから空腹が最大の原料。空腹のときに書く。朝5時に起きて、朝風呂に入り、血流を良くし、朝茶を飲んで仕事をすると、朝飯前に2つは原稿が書けますよ」
70代でもいきいきと仕事を続ける小泉さん、年齢を重ねるにしたがって、人間が熟成発酵していくにはどうしたらいいのだろう?
「まずは健康であることですね。酒は飲むけど、3か月に1回は大学病院で検査を受けています。健康だと心が弾み、ウキウキしてきます。歳をとると余計そう感じています。あとは自分の世界を作ること。私の場合は料理と小説を書くこと。小説を書くことが第二の人生、生きがいになっています」
だんだんお腹がすいてくるインタビューだった。タケは最後に小泉武夫イチオシの料理を聞いてみた。
「焼き納豆どんぶりですね。フライパンに油を引いて納豆のパックをポン、真ん中にくぼみをつくって卵の黄身をストン、その上にどんぶりをかぶせて12~3分弱火で蒸し焼きにします。どんぶりを外すと、見事に納豆の上に目玉焼きができてますから、その焼き納豆とカツオ節を、どんぶりに7分目くらいのご飯の上に載せて、しょうゆをまわして…(涎をすする音)ああ、これほどおいしいものはない!」
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