大塚家具はどこへ行く

画像: David Stewart

2019.03.13

経営・マネジメント

大塚家具はどこへ行く

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

父娘で繰り広げた委任状争奪戦から約3年半。久美子社長の「アンチフォーカス戦略」が大塚家具にもたらしたのは業績悪化と急速な資金繰りの悪化である。今回の矢継ぎ早の提携策には派手さはあっても根本的な経営立て直しにはつながらない。打つべき手は他にある。

そのほうが、大塚家具が得意とする「高級品の持つ豊かなストーリーを顧客へ丁寧に説明できる接客」という能力が活かせるからであり、そういった高級品を製造できる腕の立つ職人および生産工場とのつながりという資産を活かせるからだ。

そして勝久氏が復帰するのであれば、超富裕層向けB2C市場と彼らが所有するビジネス向けB2B市場にて彼が匠大塚で実験的に実践してきた、カスタマイズデザインのノウハウも行かせる余地が出てくる。

日本橋での「東京日本橋ショールーム」はさすがに家賃が高過ぎて、この度閉鎖したようだ。しかしこのようなカスタマイズデザイン能力こそが大塚家具の富裕層向け新戦略に必要なのだ。

何を言っているのか分かりにくいかも知れないので端的に言おう。これからの富裕層向け市場では高級家具を売るだけではダメで、インテリア・コーディネーションを総合的に請け負うビジネスにシフトすべきなのだ。

家具を新調したいという要望が来たなら、依頼主の要望する生活スタイルやワークスタイルに合わせてインテリアをどう調和させるかを提案すべきなのだ。

壁紙とフロアの張り替え、そして装飾用の絵画やポスターの入れ替えなども提案すべきだ。オフィスだったら集中/リラックスのオン/オフを自在に切り替えるためのレイアウトとインテリアを提案すべきだ。場合によってはルンバが稼働しやすいように既存のソファ等の交換も提案すべきなのだ(その意味で、久美子社長の発案による既存家具の下取りビジネスはすごくいいポイントを突いている)。

こうしたビジネスに発展していくためには従来のような「家具だけ売ります」スタイルではだめで、家の中やオフィス全体のコーディネーションができるインテリア・コーディネイターこそがキーパーソンになる。これは匠大塚での超富裕層向けの実践で培われたノウハウが有効になる領域なのだ。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。                     ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/                 ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/     

フォロー フォローして日沖 博道の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。