クルマを買える世帯は減少しているとしか思えないが、内閣府の消費動向調査を見ると、2017年度はなんと20代(29歳以下)のクルマ保有率が、47.9%から56.6%に増加しているらしい。
とはいえ、20代で年収400万を超えるのは、大企業の勤務の少数だろう。そこで各販社が力を入れてきたのが、「残価設定型クレジット」呼ばれるクレジットサービスだ。将来の買い取り費用をあらかじめ引いた分を支払うというもの(金利は全体にかかるため総額は安くない)で、200万のクルマでも、買い取り額を70万に設定されると、見た目は130万円だけ払えばいいというものだ。詳しいカラクリは省略するとして、各社のホームページを見ると、にわか信じられない月々の費用が紹介されている。
たとえば、売り上げナンバー1の日産ノートの場合、ガソリン車で、「月々3,500円~(実質年率4.9% 5年60回払い・契約走行距離1,000km/月)」と紹介されている。もちろん、頭金やボーナス払いがあるので、月々3,500円ではないのだが、20代の若者にとっては、携帯電話の費用より安い費用でクルマが持てるという、非常に魅力ある提案だ。
しかも、現在のクルマの維持費はかなり抑えられるようになった。燃費はリッターあたり20キロ近く走るし、かつて月3万円と言われていたガソリン代は1万円もいかないだろう。高速代もETCのおかげで安くなってきている。国産新車の故障はほとんどない。
合理性を考えればクルマを保有する必要はない?
一方で、「クルマは持つべきものではない」という意見も年々大きくなっている。カーシェアリングなどはその最たるものだし、日本ではいろんな規制によって、Uberがなかなか広まらないが、その分日本ではタクシーやレンタカーはどの駅に行ってもほとんど不便はない。タイムズのカーシェアリングもいたるところにある。
そもそも、クルマほど使用効率の悪いものはない。ほとんどの人は週末ドライバーだし、一家にクルマが複数台ある家で、全部使っている状況など年に何度もないだろう。
要するに、ほとんど使われてない状態で保有されているわけだ。
そういう合理性を考えれば、必要な時に借りるという選択肢は大正解だろうし、クルマをシェアし合うビジネスはこれからも増加するだろう。
クルマに関する選択に関して問題になるのは、クルマに対する意識の差だろう。クルマは移動手段(コストを含めた合理性)なのか、個性やステイタスの表現なのかの問題だ。クルマが単なる移動手段と考えるならば、クルマを保有する必要はまったくないだろう。
逆に高級車に乗りたいがためにレンタカーを使うという人もいるかもしれないが、カーシェアやタクシーで十分という人は、完全にクルマは移動手段という意識だ。
ある調査によれば、20代の意識調査では、移動手段と捉える人と、個性やセンスの表現と捉える人の割合は拮抗しているという。
「月々3,500円~」の提案は、これら両方の意識を微妙にくすぐるし、むしろ合理的な判断をするのは、高齢者に多く、実際に、タイムズカーシェアの登録も、高齢者の登録が最も増加しているという。
クルマが欲しい若者もたくさんいる。クルマ離れという前に、若者が飛びつくようなクルマをぜひともつくってほしいものだ。
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