いまだに「お客様は神様」とかいう完全な勘違いが野放しの日本。現場の疲弊は巨大な経済的損失につながっています。人手不足倒産が起こるなど、危機的状況においても、クレーマーを育てる栄養を企業が与え続ける限り、害虫は繁殖していくことでしょう。
1.不完全システムの現場丸投げ
コンビニエンスストアの伸長で、コンビニレジの果たせる機能は爆発的に向上しました。生活インフラとしての位置付けから、公供手続きや医療関係まで、さらなるサービス拡大がうたわれています。しかし、どれだけレジ機能が向上したとしても、それを操作するのは時給千円前後のアルバイトさんです。システムは作って終りではなく、それがしっかり機能するところまでデザインされなければ、それはシステムとして不完全と言わざるを得ません。
私もコンビニで自賠責保険を購入したことがありますが、即座に買えてただちに加入できるという、たいへん便利なものでした。しかし対応してくれた外国人アルバイトさんは当然のことながら「自賠責保険」が何であるかわからず、また毎日ボンボン売れるとも思えないサービスについて、いちいち指導もされていないことだったでしょう。
保険料の支払いと勘違いしたようですが、全く外国人アルバイトさんに非はありません。私は即座に仕組みの分かる人を呼んでいただき、結局手続き自体は全く問題なくスムーズに終えられました。対応してくれた店長さんっぽい人から「お待たせしてすみません」とお詫びされましたが、全く待ってません。そもそもこんなめったに利用者がいなそうな保険商品を店頭で買う以上、絶対トラブるかあるいはものすごい時間がかかるであろうことは当然想像していましたので、私にとって自賠責加入はあっという間で対応してくれたお礼しかありません。
問題なのは日本語がたどたどしい外国人バイトさんではなく、現場でオペレーションしづらいシステムでしょう。客がバーコードを持っていけばすべてレジが自動的に対応できるまでシステムを高めるような、現実的オペレーション完成前にサービスを始めるチェーンに問題があるのではないでしょうか。
2.なぜゴーン氏は40億もらえたか
介護含むサービス業や製造業、建築業での人手不足が著しく、企業は危機的状況ということです。なぜ人が集まらないのでしょう。役務と給与がバランスしていないからではないでしょうか。実際に対人サービスは重労働ですし、それゆえ就業を希望する人が減ることは自然です。そこで企業は給与など待遇を上げて人を集めることになります。
しかし人件費コストが上がれば利益が圧迫されますから商売上は不利です。ゴーン改革で日産は取引先へのコスト削減を徹底したといわれます。コストを下げられたことでゴーン改革は成功し、ばく大な年収を得られるようになった仕組みと構造は同じはずです。ばく大な利益を上げたから、ゴーン氏はばく大な年収を得られました。コストを下げるか売価を上げるかして利益を得られれば、その利益額に応じてとんでもない年収も成り立つことになります。
次のページ3.サービス限界と顧客志向
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。